《熾烈すぎる東北の2位争い》「岩手と福島、どっちが上?」地元の人に聞くと返ってくる「意外な答え」
大谷翔平の出身だから
東北、北陸、九州……同じ地方のナンバー2争いほど熾烈なものはない。1位には決してなれないがゆえに、「あの県よりは上だ!」とお国自慢をして競い合うのだ。 【一覧】あなたの県は大丈夫…? 全国47都道府県「知事の履歴書」 たとえば、福島県と岩手県。人口と経済規模では東北ナンバーワンの宮城県にはかなわない。 「では、東北でナンバー2の県はどこ?」―岩手県民に尋ねてみると、こんな答えがあった。 「大谷翔平を世に出した時点で、断然岩手でしょう。大谷だけでなく、菊池雄星もメジャーリーグで活躍している。福島出身のメジャーリーガーは1人もいませんよね? 人口では福島に負けても、傑物が育つ風土という点で勝っている」(岩手県花巻市の住民・46歳) いっぽうで東京や仙台までの近さを強調するのが、福島県福島市の住民(54歳)だ。 「新幹線を使えば仙台までわずか20分、東京までも1時間半で行けてしまいます。この利便性で岩手には負けない。さらに、福島県はセブン&アイ系スーパーが日本で最も多く、日常の買い物に不便しません。東日本大震災の教訓から、防災への取り組みも盤石なので、安心して暮らせます」 今年10月、各都道府県の魅力度をさまざまな観点・数値から算出した「都道府県魅力度ランキング」が発表された。 それによると、北海道や京都、沖縄が上位の常連なのに対し、茨城、埼玉、佐賀が最下位を争っている(図表記事末尾)。 東北では、岩手県が35位で、福島県が37位と下位で拮抗。
東北下位を分析
毎年ランキングを発表している、ブランド総合研究所の代表取締役・田中章雄氏が解説する。 「'23年の順位と比べると、岩手県は29位から35位、福島県は33位から37位とどちらも順位を下げている。大谷が「岩手の星」から「日本の星」に変化したことが、岩手の魅力を弱めている可能性があります。 また、福島県は会津地方、中通り(福島、郡山など)、浜通り(いわきなど)の3つの地域に分かれており、県としての統一感が薄いことが、ブランド力が高くない原因かもしれません」 県民性にも大きな違いがある。特に差があるのが、結婚への意識だ。統計ジャーナリストの久保哲朗氏は「実は岩手県は結婚適齢人口1000人あたりの婚姻件数が全国で最下位」と指摘する。 「福島県は8位なので、同じ東北でも大きな開きがあります。結婚への腰が重たい岩手の県民性もあるのでしょう。しかし、『働く父親の家事参加率』を見ると、岩手は全国1位。結婚する人の数は少ないですが、結婚すれば積極的に家事をする男性が多いのです」
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