メニュー写真と違い過ぎる「冷やし中華」、困惑する客に店員は「同じです」 作り直し要求できないの?
この場合、店は客に対して、供給契約に基づいた「債務の本旨に従った履行」、すなわち両者間で合意した「冷やし中華」を提供したとは評価されないでしょう。 そのため、店は債務不履行責任を負うことになります(民法415条1項)。客側としては、「作り直し」や「返金要求」が可能になります。
今回のケースは、写真を見た限りではあまりにも実物と違いますので、私だったら、作り直しや返金を要求すると思います。
──男性は諦めて食べてしまったようですが、それでも作り直しや返金を要求することは可能なのでしょうか。 食べてしまった場合は、実物の提供を受け入れた、すなわち「事後の承諾」があったとして、原則として作り直しや返金などの法的請求はできません。 ただし、「債務の本旨に従った」冷やし中華が提供されなかったのは店側の落ち度であり、積極的に承諾したのではなく、しぶしぶ食べたようなケースでは、過失相殺の法理(民法418条)で一部返金を認める余地があるかもしれません。 なお、同僚女性が注文した際にも、海苔がのっている以外は同じものが出てきたということですが、もし仮に店の行為は常習的かつ悪質だとすれば、詐欺罪(刑法246条1項)が成立する可能性もゼロではないです。 猛暑の中で冷やし中華を食べるのですから、客が気持ちよく食べるためにも、店にはメニュー写真と比べても違和感ないものを提供して欲しいと思います。
【取材協力弁護士】 大和 幸四郎(やまと・こうしろう)弁護士 佐賀県弁護士会。2010年4月~2012年3月、佐賀県弁護士会・元消費者問題対策委員会委員長。佐賀大学客員教授。法律研究者、人権活動家。借金問題、相続・刑事・男女問題など実績多数。 事務所名:武雄法律事務所 事務所URL:http://www.takeohouritu.jp/