年金月額およそ13万円…自営業者夫婦、受給繰り下げで増額狙うも「とても十分とはいえない」厳しい現実
「小規模企業共済制度」の活用等も選択肢
個人事業主は、小規模企業共済制度を活用することもできます。個人事業をやめた時などに積み立てた生活資金を受け取れるように、毎月7万円を上限として積み立てを行なうものです。掛け金が所得控除になるほか、受け取る共済金についても税法上の優遇措置が受けられます。 iDeCoと異なり、60歳まで引き出せないといった制約はありませんから、浮き沈みの激しい仕事をしている人でも安心して加入できると思います。
自営業者、サラリーマンより有利な点も多数
上記のように、自営業者は、公的年金が見劣りするのみならず、退職金がありませんし、働けなくなった場合の保証もありません。しかし、自営業者のほうがサラリーマンより恵まれている点も多数あります。iDeCoの拠出枠が大きいこと、小規模企業共済制度が使えること、などもありますが、何と言っても定年がないことは大きなメリットです。 サラリーマンは定年になると収入が激減するのですが、自営業者は元気な間はいつまででも現役として稼ぎ続けることができるのですから、大いに稼ぎましょう。
「法人成り」すれば、厚生年金への加入も可能に!
自営業者の年金が見劣りする、ということが気になるならば、法人成りという選択肢も要検討です。自分で会社を作って社長になって、厚生年金に加入するのです。自分が社長なので、定年を気にせず元気な間は現役でいられますから、サラリーマンと自営業者のいいとこどりですね。 もっとも、法人税を課せられたり、厚生年金保険料の企業負担が必要になったりするので、慎重な検討が必要です。税理士やファイナンシャルプランナーなどとよく相談して決めるとよいでしょう。 裏の手としては「配偶者が働きに出て、厚生年金に加入する」という選択肢も要検討です。配偶者が老後に受け取る年金が増えるので老後の生活が安定しますし、自営業者の仕事がうまく行かずに収入が激減した場合には「サラリーマンの専業主婦(主夫)」として扱われるため、自分が年金保険料を払わずにすむかもしれないからです。 本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義