石碑に潜む森へ誘われる! まるで絵画のような景色が広がる県下唯一のため池百選「亀池公園」を歩く
亀池の隣にある新亀池
木漏れ日が綺麗な小道を進むと、堤防の上にポツンと置かれたベンチ。その向こうに、隣接してもう1つ池が現れました。地図アプリで確認したところ、ここは「新亀池」。1931年に亀池の水量を調整する目的で造られた池だそうです。 新亀池の堤防の先には「亀池不動明王」が祀られていました。本来はベンチの右手に進むルートが亀池公園の遊歩道コースですが、せっかくなので、新亀池に少し寄り道。 見事な紅葉も拝み、新亀池の堤防を引き返していると、「こっちにも道がある!」と母がベンチの脇を指差しました。先ほどの竹やぶルートの出口がここに繋がっていたのです。 なるほど~と思いつつ、今度は亀池の堤防を進むと「黒龍大明神」と「にこにこ稲荷大明神」の祠があり、またルートが左右に分かれています。 ちょうど通りかかったウォーキング中の男性に尋ねたところ「亀池不動明王の前を通って新亀池も1周できるんですよ。サクサク歩けば30分もかからないかな。左の道がその出口。右の道は、亀池の遊歩道コースです」と教えてくれました。
まるで絵画のように池に佇む双青閣
遊歩道を歩いていると、時折り木々の隙間から池が見えました。紅葉の美しさも相まって、その景色はまるで額縁に飾られた絵画。角度によって、池の中島に建つ国登録有形文化財「双青閣(そうせいかく)」が、額縁の中央に収まります。 水辺に佇む悠々たるその姿を絵画に例えるなら『モナ・リザ』。クラシック音楽でも流れてきそうな気分! ......だったはずの私の耳に届いたのは、池の対岸にある多目的広場でギターを掻き鳴らして往年の歌謡曲を歌い上げる年配の男性の声でした。 「池が静かだから、こんなに遠くまで聞こえるんだね。あ、知ってる曲だ」と70代の母が曲名を言い当てる一方で、30代の私はさっぱり。突然のイントロクイズに完敗しつつ、さらに道を進んでいきました。
最後の坂を上がった先に
後半になるほど、遊歩道はくねくねと曲がります。「遊歩道(矢印付き)」と「イノシシ注意」「老朽化により注意」といった看板はときどきあるものの、それ以外は案内がないため「この道いつまで続くの?」と母は不安そうな声で何度も尋ねてきました。 「地図アプリで見ると、もうすぐ車道に出るはずなんだけど」と答えた直後、ラストスパートと言わんばかりに、ぐっと伸びた坂道が登場。上がった先に、予想通りの車道が現れました。 閑静な住宅街と森に挟まれたアスファルトの道を進み、中学校と小学校の校舎が見えてきたところで、右手を覆っていた森の幕が開き、一面に亀池が現れました。 スタート地点に到達し、無事にゴールした私たち。母は「途中は不安で『もうこれっきりだわ~』なんて思ったけど、1周してしまえばいいところだね。起伏が少なくて日向と木陰がほどよくあって、心地いい散策だったわ」と楽しそうに話していたのでした。
前田 有佳利(FootPrints)