石碑に潜む森へ誘われる! まるで絵画のような景色が広がる県下唯一のため池百選「亀池公園」を歩く
全国で約21万カ所も存在する、ため池。そこから農林水産省が厳選する「ため池百選」に、和歌山県で唯一選ばれているのが、海南市阪井に位置する「亀池公園」です。その規模は県下最大級。農業用水の確保を目的として造られた貯水池ですが、現在は県立公園として地域の人々が憩い、約4kmにわたる外周は遊歩道になっています。 【写真】ため池百選の「亀池公園」ハイクをチェックする(全16枚) ハイキング歴20年以上の母とビギナーの私で、秋の亀池公園を1周する約1時間30分の散策をしました。本記事では、紅葉が彩るコースの序盤を綴った続きを紹介します。
石橋を渡って鬱蒼とした森の中へ
亀池公園は、江戸時代の治水家かつ紀州流土木工法の始祖とされる、井沢弥惣兵衛(やそべえ)によって1710年に造られました。その功績を称え、亀池公園の堤防の先には石碑が建てられています。その石碑の隣に架かる小さな石橋。鬱蒼とした森に吸い込まれるように石橋を渡ります。 この日は平日だったので、さっきまでちらほらとあった人影が一気になくなり、「イノシシ注意!」と書かれた看板に出会い、なんだか不安になる母と私。ほどなくして、背後からジョギング姿の女性がやってきて、ホッとひと安心して細い山道を譲りました。 しばらくすると、分岐が現れました。右のルートは池の外周。つまり、予定の遊歩道コースですが、山を上っていくような左のルートは何だろう........? 当然のように右の階段をくだる母の背中に「ちょっとだけ見てくるわ!」と言い残して、早足で左のルートを駆け上がっていきました。
竹やぶの中に亀池辨財天
進むほどに竹やぶのトンネル。ふかふかの腐葉土が雪のように積もって、数少ない足跡らしきくぼみが稀に見つかるといった具合で、人がほとんど通らない道だとよくわかります。 荒れ果てた「亀池辨財天(べんざいてん)」の入り口が現れ、ちょっと不安になりながらも、竹やぶの先がどうなっているのかが気になって奥へ奥へ。すると、リンリンリン! 急に携帯電話が鳴ったので、思わずドキッ! 電話に出てみると「名前を呼んでも返事がないし、どこまで上っているのよ~。そろそろ、もとの道に戻っておいで」と母。そこで引き返し、もとの分岐で合流しました。 遊歩道からは先ほどの竹やぶを見上げる格好になるため、名前を呼ぶ声が聞こえないくらい上っていたんだなと実感しました。ちなみに、遊歩道は池の外周に沿っていますが、柵はほぼなし。稀にある木製の柵には「老朽化のため、使用の際は十分注意してください」の貼り紙がセットになっていました。