新型BMW523dは、これまでの“ビーエム”を覆す1台だった! 918万円のドイツ製高級セダンに迫る
フルモデルチェンジした新型BMW「523d」にサトータケシが試乗した。新時代のBMWはいかに。 【写真を見る】新型523d xDrive M Sportの内外装など(13枚)
大きくなった5シリーズ
BMWの新型5シリーズの日本におけるパワートレインのラインナップは3つ。ともにマイルドハイブリッドシステムを備える2.0リッター直列4気筒ターボのガソリンとディーゼル、そしてBEV(バッテリー式電気自動車)だ。 ここで紹介するのは2.0リッターの直4ディーゼル。直4ガソリンがFR(後輪駆動)であるのに対して、こちらは4輪駆動となる。 新型5シリーズのトピックのひとつは大型化で、全長はついに5.0mを超え、ガチンコの競合車種であったメルセデス・ベンツの「Eクラス」より10cmも長くなっている。 メルセデス・ベンツがBEV専用設計の「EQE」とエンジン車のEクラスという2本立て作戦を採るのに対して、BMWの場合は5シリーズのボディでエンジンとBEVの両方に対応するという違いもある。 5シリーズとEクラスは永遠のライバルであったけれど、100年に一度のクルマ大変革期において、少しずつ立ち位置や関係性に変化が生じているのが興味深い。 大きくなった5シリーズであるけれど、そのたたずまいを見て少しホッとする。横方向に長いキドニーグリルをキープしていることや、奇をてらわない端正なスタイリングによって、7:3分けのハンサムな4ドアセダンになっているからだ。 正直、従来型からがらりと変わったという新鮮味はないけれど、“正統派の継承”といった趣がある。 いっぽう、インテリアは最新のBMWのスタイルで、2枚の大きな液晶パネルを並べたカーブドディスプレイが目をひく。シフトセレクターやオーディオの音量調整ダイヤルなどはセンターコンソールのパネルに集約されているから、ダッシュボードにはスイッチの類が見当たらない。空調の吹出口が巧妙に隠されていることもあって、クルマっぽさが薄くなっている。最新のAV機器を揃えたラグジュアリーな都市型ホテルといった雰囲気だ。