空席が目立ったJリーグチャンピオンシップのなぜ?
宿命のライバルが真正面から激突した一戦は、ともに無得点で迎えた後半に大きく動いた。 敵陣でのパスカットからショートカウンターに転じたG大阪が、開始2分にMF今野泰幸の一撃で先制する。対する浦和も27分に、日本代表MF柏木陽介が操る右CKのこぼれ球を途中出場のFWズラタンが頭で同点弾をねじ込んだ。 球際の激しい攻防とハードワークの応酬。両チームの気迫と執念が交錯した死闘に決着がついたのは、延長後半13分。あわやオウンゴールのピンチをポストに救われたG大阪が乾坤一擲のカウンターを仕掛け、最後は攻め上がった日本代表DF藤春廣輝が利き足とは逆の右足ボレーで決勝点を決めた。 延長後半のアディショナルタイムにも失点を喫した敗戦に、日本代表GK西川周作はその場に寝転んだまましばらく動けなかった。同じく日本代表DF槙野智章が声を絞り出す。 「いいサッカーをしたけど負けた、と思っているようであれば成長はない。広島や今日勝ったガンバは、内容が悪くても勝ち切る勝者のメンタリティーがある。そういう力を、僕たちはつけていかないといけない」 ファーストステージを史上初の無敗で制し、セカンドを合わせた完全優勝で得た勢いで年間王者に立つ姿を思い描いて臨んだ今シーズン。志半ばで夢は潰えたが、G大阪のキャプテン遠藤保仁をして「どちらが勝ってもおかしくなかった」と振り返る試合内容は、最初に発言した関係者の表情を綻ばせる。 「2ステージ制に反対していたレッズが、新しい戦いで情けないゲームをすれば『適当にやっている』と言われるかもしれない。大会方式が決まった以上は、すべての試合で最高のプレーを見せる。その精神を最後まで貫いてくれたと思います」 Jリーグ関係者を含めて、試行錯誤の状態で迎えたチャンピオンシップ。その煽りを受ける形で、5万人超の声援の後押しをホームで受けられなかった浦和の選手たちに試合後、残酷にも聞こえるブーイングの塊が浴びせられていた。 (文責・藤江直人/スポーツライター)