Juju、スーパーフォーミュラテスト参加のサプライズ。前例のない挑戦を決めた経緯と狙いは?
11月30日、“Juju”こと野田樹潤がスーパーフォーミュラの合同テストに参加することが発表された。17歳の女性ドライバーが国内最高峰のレースシリーズのテストに参加するという前例のない発表にファンからは驚きの声も多く挙がったが、その経緯について、彼女の父でNODA RACINGの監督でもある野田英樹氏(以下:英樹氏)に話を聞いた。 【動画】佐藤琢磨&中嶋一貴、スーパーフォーミュラで鈴鹿サーキットを”まさかの”逆走?? (注:野田樹潤はJAF発行の競技ライセンスを“Juju”として登録しているようで、スーパーフォーミュラのテストも“Juju”名義での参加となる模様だ) Jujuは2020年、14歳にして欧州での本格的なフォーミュラキャリアをスタート。デンマークF4やWシリーズなどを戦ってきた。今季は、日本のスーパーフォーミュラ・ライツでも採用されるダラーラ320を駆り、ジノックスF2000トロフィー、ドレクスラーカップ、ユーロフォーミュラ・オープンという3つのカテゴリーに参戦。ジノックスF2000トロフィーではチャンピオンとなった。 そんなJujuは、なぜスーパーフォーミュラのテストに参加することにしたのか? これについては「今までと違った経験を積む」ことが狙いにあるようだ。 特に今年のJujuは、かつてのフォーミュラ・ルノー3.5で使われていた車両をテストする機会を得て、その車両でBOSS GPにもスポット参戦するなど、ハイパワーなビッグフォーミュラも経験した。その中で「それなりに乗れた」という経験を得て、「冬の間にダラーラ320に乗って走るよりは、今後に向けた新たな経験をした方がいい」という考えに至ったと英樹氏は説明する。そして日本のレース関係者とコミュニケーションをとる中で、ひょんなことから話が舞い込み、スーパーフォーミュラのテスト参加が決まったという形だ。 「もちろん、スーパーフォーミュラは日本のトップドライバーやF1候補生たちが揃っているカテゴリーですから条件は違うと思いますが、BOSS GPでもぶっつけ本番で結果が出ましたし、他人に迷惑をかけないような形では乗れると思っています」 そう語る英樹氏。やはり10代の女性ドライバーのスーパーフォーミュラドライブとなると気になるのは体力面でのハードルだ。英樹氏はそこに関しては当然未知数な部分があるとしながらも、フォーミュラ・ルノー3.5車両に乗った際のJujuは、パワーステアリング非搭載のステアリングに少し重さを感じたものの、それ以外は特に体力面での問題はなかったという。 Jujuにとって、初のスーパーフォーミュラで、走るサーキットも走行経験のほとんどない鈴鹿。英樹氏としても高望みをするつもりはなく、とにかく彼女にとっての糧になればと語る。 「僕は最後尾でいいと思っています。17歳の女性ドライバーがスーパーフォーミュラ車両で走るという今までにないチャレンジですし、サーキットもクルマも初めてなので、高望みもしていません。本人が今後の経験に活かせるような引き出しが増えればそれでいいと思います」 「乗れなくて元々だし、最後尾でも『それはそうでしょう』という状況です。無理に乗って他人に迷惑をかけてしまうのは良くないですが、それに関しては(ヨーロッパでビッグフォーミュラに)乗る機会があって、そういうレベルでないことは見えましたので」 17歳という若さで、スーパーフォーミュラに乗るチャンスを掴んだJuju。小学生の頃からフォーミュラカーを走らせ、父である英樹氏と共に早くから欧州に渡って、ハイパワーなマシンでの経験も積んできたが、そういったある種異端なルートが、このような前例のないチャンスに繋がったとも言える。 「16歳で限定Aライセンスを取って日本のF4に乗って、その翌年に17歳でスーパーフォーミュラに乗れていたかというと、そうはなっていないと思います」と言う英樹氏。F1直下のFIA F2に10代のドライバーが数多くいる現状を引き合いに出し、Jujuのテスト参加が「時代が変わっていることの象徴」になり、なおかつ日本の女性ドライバーたちに勇気を与えるものになればと話した。 そしてやはり気になるのが、Jujuの来季以降のプラン。今回のスーパーフォーミュラのテスト参加はあくまで経験を積むためとのことだが、日本に拠点を移してレースをする可能性などはあるのか? これについて英樹氏に聞くと、来季の選択肢としては「アメリカ、ヨーロッパ、日本」のレースカテゴリーに絞られるだろうとのことだが、まだ現時点では様々な方向性を模索しているとのこと。引き続き“NODA RACING”としての参戦になるのか、そうでないのかも含め、方向性は定まっていないという。 「来年どうするかは、正直全くの未定です。色々なお話はいただいていますが、これという方向性が決まっているわけでもありません」 「NODA RACINGとしても、今年やったような(レースの)レベルがうちの体制では限界です。この先のレベルではもっと体制のしっかりとしたところでやらないといけないのは分かっているので、どうしたものかと模索をしているところです」
戎井健一郎
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