池上彰が石破首相に直撃「石破構文は改善できる」「企業・団体献金廃止になぜ反対か」【池上無双炸裂】対談前編
2024年11月の衆院選で自公政権が少数与党に転落する原因となった裏金問題。政策活動費の全廃など政治改革が進むものの、課題は山積している。ジャーナリストの池上彰氏が石破首相に独占インタビューを行った。(内閣総理大臣 石破 茂、ジャーナリスト 池上 彰、構成/梶原麻衣子) 【この記事の画像を見る】 ● 「おにぎり」「握手」「だらし内閣」… 批判の数々を直撃 池上 就任から3カ月余り。首相官邸の居心地はいかがですか。 石破 全く慣れませんよね。大臣としても党三役としても何度も官邸には出入りしていますが、首相として入ると全く違った、特殊な空間に感じられます。「首相」と呼ばれても、誰のことでしょうかという感覚が抜けません。 池上 首相になられてからメディアやSNSでの取り上げられ方といえば、内閣発足時の集合写真で服装が乱れていたとして「だらし内閣」と呼ばれるとか、おにぎりの食べ方がよくないなどといわれています。あるいは中国の習近平国家主席との会談の際には、両手で握手したことで「へりくだっている」などと批判されています。これは心外なのではないですか。 石破 心外ですなあ。 池上 そうでしょうね。習氏との会談では、福島第一原子力発電所の処理水放水を機に停止されていた日本の海産物の輸入を2025年から解禁することが着実に実施されるよう求めるなど、成果もありました。それが握手のところで批判されるのは悔しいでしょうね。
● 日々勉強、おにぎりの食べ方も 改善に努める 石破 海産物に加え、コメや肉の輸入についても確認していますし、拘束が続く邦人の解放や、昨年9月に起きた深圳の日本人学校の小学生が刺殺された事件の全容解明など、日本として言わねばならないことを伝えています。しかし話題になるのは両手で握手しただとか、そういうことばかりです。 他の会談にしても、米国のバイデン大統領との会談や、韓国の尹錫悦大統領との会談は、エキサイティングでスリリングなものでした。しかしニュースにするには面白くないからか、あまり取り上げられません。むしろおにぎりの食べ方だとかの方が面白おかしく報じられてしまってね。そんなことで事の本質が報じられなくなるのはつまらないので、私自身も改善に努めたいと思います。 池上 どういう改善をされるんですか。 石破 いや、おにぎりは一口で食べないようにする、とか。 池上 ははは。一挙手一投足が話題になりますからね。 石破 今までは、一口でよかったんですよ。農家の方が一生懸命に作ったお米で、たくさん用意してくれたおにぎりだからね。一つもらって終わりということではなくて、二つ、三つ食べて、「ああ、そんなにおいしかったんだ」と喜んでもらいたいのでね。 池上 その真意が伝わらない。 石破 あるいはAPEC(アジア太平洋経済協力会議)での振る舞いについても、各国首脳で座って握手する人もいっぱいいれば、合間にスマホで情報を確認する人も何人もいました。しかし一場面を切り取ることで、格好のネタになったのでしょう。「スマホばかりいじっている」とか「おにぎりを一口で食べるとんでもないやつだ」とか。 だから昨年12月末の「日本経済新聞」の世論調査では、石破内閣を支持しない理由の上位に「国際感覚がない」が入っていました。ああ、こういうことなのね、と(笑)。為政者たるもの、批判されるのが仕事ではありますが、批判される材料は一つでも減らさなければならない。日々勉強であります。