帝京が「神栖ワールドユースフットボール」初代王者に!プレミア勢連破でインハイへ弾み
[7.15 神栖ワールドユースフットボール決勝 帝京高 0-0(PK5-4)前橋育英高 神栖市海浜サッカー場B] 【写真】お相手がJ1選手だったと話題に…元アイドルの女優が2ショットで結婚報告 帝京が「神栖ワールドユースフットボール」初代王者に輝く――。日本サッカー界の将来を担うユース年代選手のサッカー競技力向上と健全な心身の育成、そして、世界の強豪選手たちと切磋琢磨して「世界」が現実的な目標になることを期待し、「第1回神栖ワールドユースフットボール」が13日から15日まで茨城県神栖市内で開催された。15日午後に神栖市海浜サッカー場Bで決勝が行われ、帝京高(東京)と前橋育英高(群馬)が激突。帝京が0-0で突入したPK戦を5-4で制し、ともに特別招待のマドリード選抜、順天堂大U-20を含む参加16チームの頂点に立った。 7月27日開幕のインターハイ出場校やプレミアリーグ勢、プリンスリーグ勢も出場した「第1回神栖ワールドユースフットボール」は、戦後最多の全国高校選手権優勝6回、インターハイ優勝3回の帝京と、同じく夏冬計3回の日本一に輝いた実績を持つ前橋育英とのファイナルとなった。帝京はこの日午前に行われた準決勝・尚志高(福島)戦(1-1、PK4-3)から先発半数を変更。GK尾崎克蔵(3年)、DF大舘琉史朗(3年)、ゲーム主将の田所莉旺(3年)、小西琉斗(3年)、畑中叶空(3年)、MF加賀屋翼(2年)、近江智哉(3年)、安藤光大(3年)、堀江真広(3年)、杉岡侑樹(2年)、FW森田晃(3年)が先発した。 一方、準決勝(対慶應義塾高)を5-0で制した前橋育英は、GK西野心陽(3年)、DF 瀧口眞大(2年)、久保遥夢(2年)、山田佳(3年)、立木堯斗(3年)、MF石井陽主将(3年)、竹ノ谷優駕(2年)、柴野快仁(2年)、黒沢佑晟(3年)、FW オノノジュ慶吏(3年)、佐藤耕太(3年)の11人で試合をスタートした。 帝京が入り良くゲームをスタート。ボールを失わない力を発揮する加賀屋をはじめ、杉岡や近江、安藤らが距離感良くボールを繋いで相手ゴールに迫る。指揮を執った落合貴嗣GKコーチが、「基本的に誰が出てもお互いの特長を活かしながら攻めるっていうのは今年のチームで1つ掲げてやっていることで、今回、(公務で)藤倉監督が来れなかったんですけれども、藤倉監督がやっていることを彼らが表現してくれたのかなと思います」と説明したように、メンバーが変わっても質を落とさずに攻撃していた。 そして、細かなパス交換から堀江や杉岡シュート。また、DF背後へのパスを狙うが、前橋育英は成長株の久保のシュートブロックやPAをカバーした石井のインターセプトで得点を許さない。帝京は14分に左ショートコーナーから森田がヘッド。また、右SB大舘が高い位置で攻撃に係わるなど相手を押し込むが、前橋育英はDFリーダーの山田、久保の両CBやGK西野中心に決定打を打たせない。 相手のテンポに慣れたか、前半半ば以降は前橋育英が攻守で主導権を握る。15分、黒沢が縦パスで抜け出し、切り返しから右足シュート。直後にもセットプレーから瀧口が右足を振り抜くと、18分には佐藤が個の力で左サイドを攻略し、シュートへ持ち込んだ。また、守備センス光る竹ノ谷がインターセプトからスルーパスを狙い、大黒柱の石井も果敢なドリブルでゴール前へ侵入。25分には、柴野を起点とした攻撃から立木の左クロスをオノノジュが決定的な形で合わせた。 帝京は尚志戦に続き、我慢の時間帯が増える展開に。だが、畑中が出足良くインターセプトし、小西、大舘が相手のシュートやクロスをブロックする。また、存在感を放つ田所がピンチになりかけたシーンを潰し切るなど得点を許さない。 後半、互いに選手交代で変化を加える。帝京は7分にFW土屋裕豊(3年)、12分にMF砂押大翔主将(3年)とMF小林爽人(2年)、24分にDFラビーニ未蘭(3年)を投入。前橋育英も9分にBチームから台頭してきたDF鈴木陽(3年)とDF牧野奨(2年)、14分にGK藤原優希(3年)、21分にMF白井誠也(2年)をピッチへ送り出した。 前橋育英はスピーディーなパス交換から、相手ハイラインの背後を狙った攻撃。佐藤やオノノジュが連動した動きで飛び出してゴールへ迫る。佐藤が粘ってセットプレーを獲得したほか、山田の右FKに大外から飛び込む。また、セットプレーのこぼれ球に反応した柴野の左足シュートが枠へ向かうが、これは帝京GK尾崎がキャッチ。帝京は守備の時間が増えていたものの、田所と小西の両CBやGK尾崎中心に集中した守備で相手の攻撃を食い止め、跳ね返していた。 そして、“帝京らしく”ボールを正確に繋いで1点を目指す。後半26分にはボールを細かく動かして相手DFをズラし、最後は加賀屋からのパスを受けた土屋が右足を振り抜く。決定的な一撃だったが、前橋育英GK藤原がビッグセーブ。前橋育英も堅守を続け、0-0のまま前後半60分間が終了した。 優勝をかけたPK戦は互いに2人目まで成功。3人目、先攻・前橋育英のシュートを帝京GK尾崎が止める。だが、直後に前橋育英GK藤原が止め返してリードを阻止。互いに4人目、5人目が決めて迎えた6人目、前橋育英のシュートがクロスバーを叩く。直後に帝京MF杉岡が右足でネットを揺らし、優勝を決めた。 「神栖ワールドユースフットボール」は、神栖市観光振興課も協力。期間中、地元特産の焼ピーマンが無料で振る舞われたほか、優勝チームには副賞としてピーマンやさつまいも、メロンパンが贈呈されていた。また、各試合のボールボーイを地元の中学生が務め、地元のサッカー少年たちが練習の合間に訪れて試合観戦する姿も。その前で、高い志を持つ高校生たちがハイレベルなプレーを披露した。 帝京の田所は表彰式後、「本当にいろんな方のサポートがあって成り立った大会だなっていうのを感じたので。そこはほんとに感謝しかないですね」とコメント。そして、「初めて開かれる大会ってことで、初代の優勝チームの名前に帝京高校が載ったっていうのは、ほんとにいいことだと思います」と微笑んだ。 帝京は尚志、前橋育英とプレミアリーグ勢を連破し、27日開幕のインターハイへ向けて弾みをつける優勝。落合コーチが「やっぱり1-0で勝つっていうよりは、2-0、3-0とたくさん点を取って勝ちたいってのは(藤倉寛)監督と同じ考えなので、そこはこの後みんなで詰めていくところなのかなと思います」と語ったように、強豪チームとの計5試合で出た課題を持ち帰り、修正して夏の日本一に挑戦する。