「熊出没注意」看板を無視して「山に入る」人たちの”強烈すぎる本音”…「みんな旬の天然もの好きだろ」
「高級な楊枝」としてのニーズも
「冬はシバ(クロモジ)を採る。いい年だと一冬で100万円くらいにはなるんでないか。11月から4月初めまで。高級な楊枝にもなるが、養命酒などの材料にもなる。シバは赤松の中にあることが多いな。 あと、斜面一面の木を伐採した後に一番早く生えてくるのがクロモジ。杉林にもあるけれど、枝が茂っていて光が当たらないから枝が曲がっていることが多い。出荷サイズは決まっていて、10円玉の太さの枝を決まった寸法で切って10キロを束にしてまとめる必要がある。 だから、曲がった木は紐で縛るのが大変だから杉林のシバは採らない。二束を山から車まで大汗かきながら持っていく。黒もじは大きくなると大抵腐ってしまう。機械も使えないので全て手作業。でも冬場だから熊の危険も少ないな」 山は県境を跨いで果てることなく続いている。年間を通して山の幸を確保している男性に山菜採りの許可はとっているのか聞いてみた。
「海と同じようなことだよ」
「国有林であろうが、私有林であろうが、勝手に採ったらダメだというのが俺から言えること。それでは泥棒と同じだ。私有林であれば所有者を探して連絡をして許可を貰えば大丈夫。お金を払う場合が多いよ。入山料として1000円とか、入山料を取らない代わりに採ったものを所有者が現金で安く買い取るとか、さまざまだ。 国有林の場合は、自分が食べる分だけ、自家消費のために採るのであれば許可されることが多いな。商売としてそこで採ったものをどこかに卸したり、売るのであれば営林署などに許可を申請する必要がある。 でもそれも担当者によって対応が違うんだ。曖昧なんだよね。毎年生えてくるキノコはとっていいけれど、山菜はダメとか、タケノコを採るなら販売価格の5%を支払うなど、覚書を交わすこともある。 よく問題になるのは、私有林で所有者に無断で勝手に採る人。所有者にしてみれば完全な盗人だよ。逮捕された話は聞いたことがないけれど、褒められたことではないな。仲間の中には車の窓を割られたりタイヤの空気を抜かれたりした者もいる。 考えてみれば、海でもそうだ。養殖している魚を取ったらダメだけれど、自然に泳いでいるところで魚を釣ってもほとんど文句を言われないでしょう。同じようなことだよ」 なぜ、危険を承知で山に入るのか?