「熊出没注意」看板を無視して「山に入る」人たちの”強烈すぎる本音”…「みんな旬の天然もの好きだろ」
昔は春2ヵ月で手取り100万円あったが
「その昔はタケノコだけで5月から6月頃の2ヵ月間だけで手取り100万円くらいにはなった。今はクマもいるし、買取価格も低いから良くても60万円くらいでないの。 以前はタケノコの長さは15センチに決められているところが多かったんだ。加工しやすいために太さも長さも揃える必要があるんだね。相手は目方で買うから損しないように昔は厳しかったんだよ。 今は、東京まで送るモノはコンテナに入る30センチに揃える。お客が食べるまで数日かかるからな。タケノコは1日で一節固くなるから、その部分は捨ててしまうのであらかじめ長めに採るんだ。 地元の食品加工会社の買取価格はキロ当たり400円弱。買い子を通じて出せばキロ450円から500円。その他、直売所に出すこともある。そこでの値付けはキロ1000円程度になる。 でも売れるか売れないかわからないし、売上の20数%は店側に引かれてしまう。さらに搬入作業やビニール詰めをしたりラベル代など考えると、利益はわずかになるんだ。 それぞれの買取場所によって求められる長さや太さが違う。水煮には細いもの。焼きタケノコ用は太いもの。国産の需要は高いが、買取価格は低値安定だよ。燃料代が上がってもほとんど変わらない。 山に入る人が少なくなってきたから価値は上がってるはずだけど、採る側は弱いままだ。俺のように注文が来てその品物を用意する採り子もいる。価格は相手と相談で決める。買ってくれる相手がいないと食いっぱぐれるな」
いまも需要がある薬草
「タケノコは土壌や日当たりなど場所によって違うが5月中旬から6月末まで。タケノコと同時にフキやウドも採る。その後は、栃ノ木の葉に似ているトチバニンジン。葉を見て判断し、丁寧に掘って取り出す。朝鮮人参のようなもので漢方薬の材料になる。仲買を通すと安くなるが、直接会社に持っていくとキロ1000円くらいにはなる。春先から秋口までだね。 山ウドは買取価格がキロ250円から200円になってしまった。ただ水分が多いから目方があるので効率がいい。ミズ(ウワバミソウ)などなんぼ取っても日当にならない。軽トラ1台分とっても葉っぱを取らねばならないんだ。 沢の近くのミズには毛が生えている。そういうミズは毛を取らなければならない。とにかく手間がかかるんだ。だから毛がついてないのがいい。時期と場所を選んでなるべく長くて実の落ちてないものがいい。山仕事の秘訣は、いつ、どこに程度のいいものがあるかを知っていることが重要なんだ。 7月末から8月末頃までは在来種のオトギリソウもあるな。セイヨウオトギリソウではないよ。これも薬草。刈り取って集めて乾燥させてから売る。手間がかかるがキロ1000円にはなる。赤松に絡む蔓も需要がある。名前は忘れたが、これも薬草。木に登って丁寧にとる。そのほかにも猿の腰かけは安いけれど安定して取れる。 栃の実も薬としての需要がある。フキノトウも都会向けに需要がある。葉の開く前のものしかだめだ。その他、キノコ類や蕨、ぜんまい、こごみ、しどけ(もみじ笠)などの山菜、山ウドやフキにタラの芽なども採る。沢の近くではクレソンなんかも採れる」