安倍改造内閣「支持」の背景は? 政治学者・中野晃一教授はどうみる?【フル動画&全文】
経済重視のプラグマティストか、復古主義的な政治家か
――安倍総理は、経済重視のプラグマティストか、復古主義的な政治家か。海外メディアは、どう見ている? 中野:当初、政権に返り咲いた2012年の12月の段階では、両論がありました。第1次安倍政権、これまでのさまざまな発言や行動から、一方では、安倍総理は極右政治家だという極端な見方がある。もう一方で、彼はプラグマティストで、例えば第1次安倍政権のときも日中関係を小泉さんが壊したあとに立て直したのは安倍さんだ、現実主義的に行くに違いない、アベノミクスに集中するだろうという意見。両論があったんです。 それがしばらく続いたんですが、やはり昨年夏の参議院選挙をきっかけとして、「ねじれが解消したことで本性を出した」という受け止め方が広がっている。「アベノミクス」は1年ちょっと経過したが、株式市場が一時期、賑わったということ以外はあまり成果がない。消費税増税もあり消費も冷え込んでいる。雇用状況もあまり良くなっていない。賃金も特に低所得者層では上がっていない。いろいろなデータが出てきている。その意味で、ここのところは、安倍さんを見る目は厳しくなっていると思います。 ――具体的に海外メディアとは? 中野:日本に対して一番関心を払っているのは、ある意味当然なんですけど、経済メディアです。フィナンシャル・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル、あるいはロイターとかブルームバーグのような通信社もそう。経済的な理由から日本に対する関心が強い。彼らは、構造改革路線であるとか、規制緩和のようなものは歓迎するけれども、それに反するようなこと、投資家が興味を持つことから気をそらすようなこと、政治的なエネルギーをそぐようなことに安倍さんが夢中になると困ると考えているのでしょう。 そんな彼らにとっては、今年に入ってからの通常国会では、法案はたくさん通ったけれども、改革が進んだというよりは、集団的自衛権が一大議論になっているので、このまま進むのであれば、やはり安倍総理は、復古主義的なアジェンダに興味が強い人だったと、ある程度、評価が定まってしまう可能性があります。