絶滅危惧種のニシネズミザメ、より大きなサメに食べられていた
個体数のさらなる減少を懸念
絶滅危惧種に分類されているニシネズミザメの個体数が減少しているなかで今回の研究結果が発表されただけに、かなり心配です。2016年の報告書で、アメリカ海洋大気庁(NOAA)は、乱獲と生息地の消失によって、ニシネズミザメの個体数は最大90%減少したと推定しています。 通常30歳前後が寿命(65歳まで生きた長寿の個体もいます)のニシネズミザメのメスは、13歳前後でようやく出産できるようになります。そして、1年から2年の間に、平均4頭の子どもを産むそうです。 繁殖サイクルとしては比較的長いほうなので、個体数が減少すると回復するのはなかなか難しいといいます。そこに他種のサメに捕食される脅威が増えると、特に妊娠中のメスはさらに危険な状況に追い込まれます。 アンダーソン氏は深刻な状況について、プレスリリースで次のように話しています。 妊娠中のメスの個体が1頭減ると、個体群の増加に貢献できるはずだった繁殖可能なメスと複数の胎児すべてを失うことになります。もしもこれまで考えられていたよりも広範囲で補食が起きているのだとしたら、乱獲に苦しめられてきたニシネズミザメの個体群に甚大な影響を及ぼす可能性があります。 絶滅危惧種に指定されている希少なサメが補食されているという事実は、海洋生物学にとって歓迎すべきニュースではありませんが、今回の研究で得られた知見を基礎にさらなる研究を進めて、手遅れにならないうちにニシネズミザメを救うための新たな対策につなげられれば、この悲しい出来事も重要な意味を持つかもしれませんね。 Reference: IUCN, scimex
Kenji P. Miyajima