秋華賞を制し２冠を達成したチェルヴィニアの未来は…

［ＧⅠ秋華賞＝２０２４年１０月１３日（日曜）３歳牝、京都競馬場・芝内２０００メートル］ 　１３日、京都競馬場で行われた牝馬３冠最終戦・ＧⅠ秋華賞（芝内２０００メートル）は、１番人気のチェルヴィニア（木村）が豪快に差し切り、オークスに続く２冠制覇を果たした。着差以上の強さを感じさせた走りと、今後の未来から浮かび上がったのは…偉大な牝馬３冠馬２頭と肩を並べ、それを超えてしまう可能性だ。 　単勝１番人気＝２・３倍だったチェルヴィニア。だが、レースの内容は着差（２着ボンドガールと０秒３差）以上のワンサイドで、１倍台の馬の圧倒的強さだった。 「たくさん馬がいますが、チェルヴィニアは素晴らしい馬です。道中は好きなポジションになって、その後はずっと自分のリズムで走れました。冷静に走ったら、すごくいい加速をすることができます。またＧⅠを勝てるくらいのレジェンドホースになることを期待しています」とルメール。１０００メートル通過５７秒１というハイペースに惑わされることなく、自分の競馬に徹した。チェルヴィニアのために前が開いたかのような騎乗を見せた鞍上の技術もさすがだが、スペースができた瞬間の速さは他を圧していた。 「レース後の状態をしっかり見て、健康であれば秋シーズン１回だけにとどまらず、使いたいと思っています」と慎重に言葉を選んでいた木村調教師のコメントから注目したい部分を挙げるのであれば、それはレース回顧よりもチェルヴィニアの〝未来〟だ。「３歳ですし、先輩たちと戦っていくことになりますが、チェルヴィニアに関しては牡馬にぶつけていってもいいんじゃないかなとも思っています」。 　これに関して具体名を出したのはオーナーであるサンデーレーシングの吉田俊介代表。「ここからまだ良くなる馬ですし、次は今よりいい状態で臨めると思います。古馬に挑戦したいので、次はジャパンＣ（１１月２４日＝東京芝２４００メートル）を目指したい」と国内最高峰のＧⅠに視野に入れていることを明言した。 　同じ馬主・サンデーレーシングで３歳牝馬のＪＣ挑戦といえば、２０１２年のジェンティルドンナ（１着）に昨年のリバティアイランド（２着）。ともに３冠牝馬だ。チェルヴィニアはこの２頭と同等の能力を持った馬…と陣営が認識していることになる。 「馬としてまずは健康にしてあげたい。将来的には繁殖牝馬になると思うので、ケガをさせたくない。競走も大事ですが、約束した未来を逃さないようにしたい」と引退後の〝未来〟についても触れたトレーナー。その重みある言葉に、チェルヴィニアの血を後世に残すこと――その重要性が浮き彫りになる。過去の名牝に並び、それを超えていく成績を残す可能性も十分にありそうだ。