故郷への思い、そして未来。マンガ家・永井豪、能登半島復興への"道標"を語る!
能登半島地震から約1ヵ月。特に被害が大きかった石川県輪島市出身のマンガ家・永井豪先生は、苦しい生活を強いられている被災者の方たちに勇気を与えんと今、積極的に発信している。 【写真】2011年に販売されたマジンガーZのプレミアムフィギュア 能登半島はもとより人口が少なく、今後の復興に冷淡な見方をする向きもある。だが、先生はそれを毅然と否定し、力強く"希望"を語った! ■焼け跡の上に立つグレートマジンガー ――能登半島の輪島市にあるミュージアム「永井豪記念館」で奇跡が起きました。建物の入り口付近は全焼していたにもかかわらず、中に展示されていたマンガの原画やフィギュアのほとんどが焼失を免れたそうですね。 永井豪(以下、永井) 展示物はほとんど燃えてしまっただろうと考えていました。自分は現役のマンガ家ですから、なくなってしまったものはもう一度描けばいいくらいに思っていた。ところが1月25日、輪島市の観光課の方からその知らせが入ったわけです。 永井豪記念館を建設するとき、耐火対策を施してくれていました。それが功を奏したようです。感謝の言葉しかありません。 ――テレビの報道では、救出されたグレートマジンガーの巨大フィギュアが焼け跡の上に自立している姿が映っていました。永井先生は一貫して、ボロボロになっても立ち上がるヒーロー像を描かれていますが、それを連想しました。 永井 確かに自分が描く世界観とダブって見える部分はありました。偶然とはいえ、こういうことってあるんですね。 ■作品の原風景が輪島にはある ――先生から見た故郷の能登、輪島はどんな土地でした? 永井 僕が住んでいたのは戦後間もない頃です。輪島には「朝市」という1000年以上前から存在する大きな市場があって、通りに面して商店がたくさん並んでいました。朝市のすぐ向こうは海でね。 そこから振り向くと、後ろに大きな山が見えた。大きな森もあるし、田んぼも畑も川もある。まるで日本の原風景みたいなものがすべて集約されているような土地ですね。 朝市に行くのが大好きでした。小学校1年の頃、学校の帰りに朝市の店を一軒一軒回りました。店番のおばさんたちが元気に声をかけてきてくれたり、お店にはカニから何からいろんな魚が売っていた。