微粒子1層、カラフルに…少量で退色しない「構造色インキ」開発 神戸大
これまでの塗料は大型旅客機「ボーイング747」でコーティング材なども含め500キロほどが必要とされたが、このインキなら10分の1にまで削減できるという。需要の大きい赤色を出すことや、実用化のための大量生産技術が課題となる。
研究グループの神戸大大学院工学研究科の杉本泰(ひろし)准教授(ナノ材料科学)は「工夫を重ねた結果、色が目に見えて分かるのは研究として非常に面白い。従来の色素に比べ、加熱に圧倒的に強いなど耐久性が高いのもメリット。看板などが年を経て退色すると塗り直すコストがかかり、作業に危険が伴うこともある。そういった問題の解決につながるのでは。また、環境意識の高まりで塗料の原料の規制が広がる中、シリコンという地球上にありふれたものが使えるのは大きな利点だ」と話している。
成果は米化学誌「ACSアプライド・ナノ・マテリアルズ」に1月30日掲載され、神戸大学が31日に発表した。研究は科学技術振興機構(JST)研究成果展開事業の支援を受けた。
構造色をめぐっては、富士フイルムが2022年に「構造色インクジェット技術」を開発したと発表している。こちらは神戸大グループとは逆に、見る角度によって色が変化する美しさを活用した技術という。