金利上昇局面…アパートローンの「元利均等」と「元金均等」、メリットが大きいのはどっち?【元メガ・大手地銀の銀行員の回答】
金利上昇時の総利払額は?
上記それぞれのシミュレーションによる総利払額をまとめたものが図表7のとおりであり、当該シミュレーションにおいては借入方法により約3百万円の差が発生している。
アパートローンにおいてはどちらの金利を選ぶべきか
住宅ローンの場合の返済原資は借入人の給与収入であるから、一般的に年齢が増すごとに給料も増えていくことを考えれば元利均等で借入をしたほうが、生活が安定すると思われる。 一方、アパートローンの場合における返済原資は不動産収入である。一般的に不動産収入は築年が浅いうちのほうが収入がよく、築年が経過していくごとに下がっていく。つまり、住宅ローンとは返済原資の考え方が異なるため、元金均等を選択することも十分にあり得る。 筆者個人としては、金利上昇局面においてローン金額が大きい場合にはローンを2本にわけ、元利均等と元金均等とをミックスして借入することを検討してもよいと考える。 また、固定金利と変動金利とをミックスさせることで、金利上昇時においては違約金をかけずに元利均等部分について繰上げ返済を行うなど戦略的に検討していくことが収支を最大化するために必要である。 一方で、金利が低いまま変わらないと考えるのであれば、元利均等を選択し当初の返済額を減らしキャッシュフローをほかの運用にあてることで収支を最大化していく戦略もあり得る。
まとめ:アパートローンを円滑に承継するためには…
・形の見えないローンについては整理のうえ相続人としっかり共有をする ・ローンについても借りっぱなしにせず、それぞれの融資条件をしっかりと把握しておく ・返済方法によって総利払額に差があることを把握しておく ・金利市況については常に把握し家族内でも打合せをしておく ・金利上昇局面においては元金均等返済も検討し、総利払額を下げる取り組みをする ・場合によっては柔軟に対応できるよう元利均等と元金均等をミックスさせる 以上のポイントを押さえることが重要である。 小俣 年穂 ティー・コンサル株式会社 代表取締役 <保有資格> 不動産鑑定士 一級ファイナンシャル・プランニング技能士 宅地建物取引士
小俣 年穂
【関連記事】
- 年収 2,000 万円の営業部長、住宅ローン審査で撃沈「申し上げにくいのですが、貸せません」不動産営業マンが指摘した〈まさかの理由〉
- 銀行「無事、融資が通ります」…年収1,000万円超の43歳課長、“2億円”の物件で始めた〈不動産投資〉の悲惨な末路【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
- 「相続税を抑えられます」節税として不動産投資を勧められた45歳社長…昇格目前の8年目銀行員を怒鳴りつけたワケ【元メガ・大手地銀の銀行員が解説】
- 退職金で〈毎月分配型〉投資信託を買った63歳・元大企業部長…“ゴルフ三昧”で過ごした1年半後、若手銀行員を怒鳴りつけたワケ
- 調査官の思うツボ…税務調査「トイレを貸してください」の真意