大江千里、初めて愛車歴を語る! 小室哲哉の勧めで買った初マイカーと、その車内で誕生した名曲とは
愛車を見せてもらえば、その人の人生が見えてくる。気になる人のクルマに隠されたエピソードをたずねるシリーズ第56回。前編では、アーティストの大江千里さんが、初めて買ったドイツ車と久しぶりに対面した。 【写真を見る】大江千里と初マイカー(15枚)
友人“TK”に勧められたクルマ
『十人十色』、『格好悪いふられ方』、『Rain』、『ありがとう』など、数々のヒット曲をもつアーティストの、大江千里さんがデビューしたのは1983年。大江さんが関西学院大学4年生のとき、レコード会社主催のオーディションで最優秀アーティスト賞を獲得したのをきっかけに、シングル『ワラビーぬぎすてて』とアルバム『WAKU WAKU』を同時リリースするという華々しいデビューを飾った。 「いやぁ、ぜんぜん華々しくなんかなかったですよ。まだ在学中だったので、東京と大阪を行ったり来たり。キーボードを持って満員電車に揉まれて、毎週羽田~伊丹空港を往復していた、そんな記憶しかないなぁ」 翌84年、大学を卒業し上京。その年、CMソングに起用された『十人十色』がスマッシュヒットし、一躍その名前を知られるようになる。当時はまだ電車移動だったが、「クルマ、欲しいなぁ~と、憧れていました。ずっとフォルクスワーゲン『ビートル』と初代の『ゴルフ』が好きで、クルマ屋さんの前を通るたびに探していた」と、話す。 大江さんが初めての愛車を手に入れたのは、とある大物アーティストのちょっとした“おせっかい”がきっかけだった。 「同じレコード会社だったTMネットワークの小室哲哉さんと仲が良くて。彼がクルママニアでね。あるとき日比谷のラジオ局で一緒に仕事をした帰り、“送っていってあげるよ”って言われて、彼のクルマに乗せてもらったんです。追っかけの人を振り切って、裏道をワーっと走って。事務所のある池尻大橋まで、ちょっとした冒険(笑)。クルマを降りるときに、クルマに“F”なんとかって車名が書いてあったから、『さすがスポーツカーは速いね、このフェアレディZは』って言ったら、哲っちゃんが 『違うよ~、フェアレディじゃなくてフェラーリだよ~』って。『ごめんごめん』って、謝りましたけど(笑)」 それをきっかけにしばしクルマ談義が盛り上がり、大江さんが「実はクルマがほしいんだ」と、打ち明けると、小室さんは「千里のクルマ、僕が探してあげるよ。これからちょっと見に行こう」と、言った。 ふたりは再びフェラーリに乗り込み、近所の輸入車ディーラーへ向かう。すでに閉店後だったが、展示している中古車をあれこれ見て回った。 「すると哲っちゃんが、ブルーのゴルフを指して『千里にはコレがいいんじゃない、コレにしなよ』と、言うんです。僕は『うん、わかった』と、言って、翌日、そのクルマを契約しに行ったんです」 小室さんが「背中を押してくれた」という大江さん。それにしても勧められたクルマを翌日に購入してしまうとは(!)、さすがアーティストならではの“直感”なのか。