大江千里、初めて愛車歴を語る! 小室哲哉の勧めで買った初マイカーと、その車内で誕生した名曲とは
理屈じゃなくて、肌が合う
大江さんが購入したのはゴルフⅡの新古車だった。ここでフォルクスワーゲン・ゴルフについて紹介する。ゴルフはドイツの国民車、「ビートル(タイプ1)」の後継車として74年に登場。水平対向エンジンを車体後部に搭載していたRR(リヤエンジン、リヤドライブ)のビートルに対し、ゴルフは直列4気筒エンジンをフロントに積み、前輪を駆動するFF(フロントエンジン、フロントドライブ)方式を採用。自動車デザイナー、ジョルジェット・ジウジアーロのデザインおよびパッケージングによる、コンパクトな外寸に広い室内空間を備えていた。 ゴルフは登場とともに世界中で大ヒットし、その後の小型大衆車の手本となった。その初代がフルモデルチェンジし、83年に発表されたのが2代目ゴルフ、いわゆる“ゴルフⅡ”だ。質実剛健な初代のイメージを引き継ぎつつ、クルマ内外をモダナイズしたゴルフⅡは、日本でも高い人気を博した。 大江さんが乗っていたのは、快適装備を充実させた上級グレードの「GLX」、色はソリッドのネイビーだった。今回撮影のため用意したのは、ベーシックグレードの「CLi」にフォグランプやルーフキャリア、BBSのアルミホイールなどのカスタムを施した個体だった。 車内に乗り込んだ大江さんは「これこれ、懐かしいなあ。座ったときのフィット感、シートがファブリックで毛羽立っちゃうとことか、すべてが愛しい。理屈じゃなくてね、肌が合う感じ」と、嬉しそうに当時のことを思い出していた。
ゴルフの中で生まれた名曲
「ゴルフは始めての愛車だったし、嬉しくていろんなところに乗っていきましたね。88年に『1234』っていうアルバムをつくったとき、レコーディングしたばかりの音源を友だちの秋本奈緒美ちゃん(歌手、俳優)に聴いてもらおうと、カセットテープに入れて、ゴルフでかけながら逗子まで行ったの。『ROLLING BOYS IN TOWN』って曲になったら、奈緒美ちゃんに『これはTMネットワークっぽいねぇ』と、言われて、僕も“ちょっとやりすぎた?”なんて(笑)。その後、長者ヶ崎まで行って、海を眺めながらデッカイ音で曲を聴いて、“うん、大丈夫”って確認したのを覚えてる」 ゴルフの中で書いた曲もたくさんあると言う。「引っ越しで新居を契約した帰り、“やったー、この家で曲をいっぱい書くぞ~” なんて盛り上がって、思わず『君と出会えてよかった~』と、鼻歌が出てきた。慌ててクルマ止めてカセットデッキに録音して、家に帰って採譜して」という、名曲『GLORY DAYS』誕生秘話も。 その後、新しいクルマを購入したり、事務所のクルマに乗っていたりしたこともあったが、2007年、ジャズピアニストへの転身を志し、ニューヨークにわたるまで、大好きなゴルフはずっと持ち続けていた。 「ゴルフには20年ぐらい乗って、最後はいろんなパーツを新品に換えて、新車みたいにピカピカにして可愛がっていたんだけど、アメリカに行くときに手放しました。あっちに行ってからは17年間、クルマなし生活なので、ゴルフは僕にとって最初で最後のクルマなんです」 今回、ゴルフⅡとの再会を果たし、「いまも毎日、クルマに乗りたいなぁ、と、思っています」と、クルマ愛を語る大江さん。 後編ではゴルフとともに所有したクルマの話、ドライブのエピソードなどを。