「情弱な被害者ではない」闇バイト応募者の本性 「だまされた普通の人々」は作り上げられた虚像である
夫が組織犯罪に関わっており、犯罪で生計を立てていた主婦のどこが「普通の主婦」だというのだろうか? やはり、そもそも犯罪と親和性の高い人物だったと見るべきだ。 かつて、「主婦や学生にも覚醒剤が蔓延している」などというニュースが世間を驚かせたことがあったが、それも同じだ。普通の主婦や学生は覚醒剤などには興味を抱かない。むしろ嫌悪感や恐怖を抱き、違法薬物などからは距離を置くのが「普通の人」だ。それに対して、興味関心を抱くのは、やはり反社会的なパーソナリティや態度の表れにほかならない。
一連の事件で最も責められるべきは、もちろん首謀者であり、いまだどこにいるか影もつかめていない指示役であることは間違いない。しかし、だからといって、実行役の責任を過小評価したり、ある意味で被害者であるかのような報道をすることは、被害の大きさや社会的影響を考えると厳に慎むべきである。
原田 隆之 :筑波大学教授