70代のタクシー運転手の半数に視野などの異常、運転手を対象にした初の眼科検診で明らかになった不都合な事実
■ 交通事故につながる目のトラブル解決へ ここまでみてきたように、交通事故と目のトラブルとの関係についてポイントを3つでまとめると次のようになるだろう。 ○交通事故と目のトラブルとの関係、ポイント1 交通事故は全体的に減少傾向にあるものの、2023年には自動車乗車中の重傷者数が増加に転じた。この増加の背景には、シートベルトの非着用や携帯電話の使用、高齢運転者の増加、そして緑内障などの目の疾患の関連が注目されている。 ○交通事故と目のトラブルとの関係、ポイント2 国土交通省の調査では、職業運転手を対象に「眼科検診普及に向けたモデル事業」が行われた。調査の結果、2376人中約20%に異常所見があり、視野障害の原因疾患(疑い含む)と判断された運転者は267人(11.2%)であった。 ○交通事故と目のトラブルとの関係、ポイント3 高齢運転手の事故率が高く、特にタクシー運転手がの健康問題が注目される。眼科検診の結果、多くの運転手が視野障害を来す病気を抱えている可能性が示された。視野障害に関する運転リスクを事業者に周知するとともに、眼底検査導入などの対策が求められる。 【参考文献】 ◎令和5年における交通事故の発生状況について(警察庁) ◎タクシー運転手の現状とタクシーに関する事故データ ◎土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.73, No.5 (土木計画学研究・論文集第34巻), I_961-I_970, 2017. ◎自動車運送事業に係る視野障害対策ワーキンググループ ◎労働安全衛生法による健康診断の実施義務とは? 項目や費用を解説 星 良孝(ほし・よしたか) ステラ・メディックス代表取締役/編集者 獣医師 東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPにおいて「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年に会社設立。獣医師。 ステラ・メディックス:専門分野特化型のコンテンツ創出を事業として、医療や健康、食品、美容、アニマルヘルスの領域の執筆・編集・審査監修をサポートしている。また、医療情報に関するエビデンスをまとめたSTELLANEWS.LIFEも運営している。 ・@yoshitakahoshi ・ステラチャンネル(YouTube)
星 良孝