ナス物産関西加工センター、シャー6基撤去し板倉庫へ
日本冶金工業グループの中核商社であるナス物産(本社・東京都中央区、社長・伊藤真平氏)は、5月に明らかになったステンレス加工拠点・関西加工センター(堺市東区)の設備再編・建屋改修計画について、より具体的な内容を固めた。 これまで同センターには加工機能を持つ建屋が3棟あるが、今年度中に第1工場のシャーリング6基を撤去し、建屋の半分を板製品用の倉庫に改修する。残り半分は取り壊し、来年度中に跡地へ新事務所を建設する。新事務所は現在の1・5倍の事務スペースを有し、社員食堂や休憩室なども充実させ福利厚生面を向上させる。旧事務所の解体と外溝工事は来年度後半に実施する予定とする。 同計画は現中期経営計画の重点テーマに位置付けられ、「リフレッシュ関西プロジェクト」と題されている。販売基盤強化に向けたコイルセンター機能の再構築と職場環境改善が目的。これまでも2019年にプラズマ切断機、22年にミニレベラーを撤去し、設備集約を進めたほか、この5年で主要設備の制御系更新を大方済ませた。22~23年には第2工場の耐震工事を実施。同計画を通じて、将来を見据えた体制構築への取り組みを加速させる。 同計画を通じて、第1工場も耐震工事を実施し、板製品用の倉庫へと改築する。倉庫面積は800平方メートルとなり、板製品の平置きスペースは5割以上増える見通し。「これまでコイル製品用の在庫機能は十分あったが、板製品の平置きスペースが不足気味だった。厚中板製品の品ぞろえ強化につなげたい」と伊藤社長は説明する。現事務所の老朽化に伴い、第1工場の半分は取り壊し新事務所を建設する。耐震問題の解決、職場環境改善により業務効率向上、加工センター見学など顧客へのPR機能強化、採用促進を図る。事務所スペースが広がることから、シナジー創出に向けてNC事業部大阪営業グループの事務所移設も検討する。 シャーリングが撤去されれば、同センターはスリッターとレベラー、ビニール貼りが残ることになる。プラズマ切断やレーザー加工、シャーリングなどの機能は、もう一つの加工拠点である中部加工センター(愛知県小牧市)に集約する。国内需要の縮小が見込まれる中、関西と中部のすみ分けを明確にした上で設備をスリム化することで、コスト削減や生産性向上につなげたい考えだ。なお、縮小したシャーリング機能は、パートナーの加工流通業者への委託を通じて補っていく方針とする。