兄だけ、1,000万円の生前贈与を受けてズルい…相続で平等を求めるも、遺産分割調停が「不成立」となってしまったら【弁護士が解説】
遺産分割調停が不成立となりそうな場合の対策
遺産分割調停が不成立となりそうな場合は、どのような対策を講じればよいのでしょうか? 最後に、遺産分割調停が不成立となり、審判へ移行しそうである場合に講じるべき対策を3つ解説します。 弁護士に相談する 1つ目は、遺産分割事件に詳しい弁護士に相談することです。先ほど解説したように、遺産分割調停が不成立となると、その後は自動的に遺産分割審判へと移行します。 遺産分割審判では証拠をもとに法律に即してより厳格な判断が下されることになるため、自分で対応して有利な結果を勝ち取るのは容易ではありません。そのため、遅くとも遺産分割調停が不成立となる見込みが高いと判断した時点で、相続問題に詳しい弁護士に相談したほうがよいでしょう。弁護士に相談して依頼することで、次で解説する自身の主張の整理や証拠の取りまとめなども可能となるほか、審判に代理で出席してもらうこともできるようになるため安心です。 また、そもそも審判へ移行すべきか、多少自身の主張に妥協をしてでも調停を成立する方向に軌道修正したほうが得策であるかどうかなど、状況に応じたアドバイスを受けられるようにもなります。 自身の主張を整理する 2つ目は、自身の主張を整理することです。遺産分割審判では、原則として法定相続分どおりに遺産の分割がなされます。そこで、法定相続分とは異なる配分を希望する場合、その旨を明確に主張しなければなりません。 たとえば、相手が生前贈与を受けていたので特別受益を考慮すべきであるとの主張や、自身が長年無償で被相続人を介護してきたため一定金額の寄与分を受け取りたい旨の主張などが挙げられます。自身の主張が審判で認められる可能性があるかどうか、自分で判断することは容易ではありません。そのため、主張の整理は弁護士に相談したうえで行うとよいでしょう。 自身の主張を裏付ける証拠や資料を取りまとめる 3つ目は、自身の主張を裏付ける証拠や資料を取りまとめておくことです。審判で主張をするには、証拠などの根拠がなければなりません。 たとえば、「相手方である兄は、数年前に被相続人から1,000万円の贈与を受けていた」と主張していても、兄が贈与を真っ向から否定しており贈与の証拠もない場合は、審判にあたって贈与の存在を事実として組み入れてもらうことは困難でしょう。 そのため、審判にあたっては自身の主張を裏付けるための証拠の提出が必要となります。必要な証拠は状況や主張したい内容などによって異なるため、弁護士へ相談したうえで準備を進めるようにしてください。