中国の裏切りで「もうミャンマーは終わりです」 軍政権を支援で国民からは絶望の声
「和平を求めている」と言いながら空爆
トップのミンアウンラインは「和平を求めている」と言いつつ、少数民族軍に支配権を奪われた街やエリアに、国軍は激しい空爆を加えている。そんな地域に住む人の意識は違う。AA(アラカン軍)と国軍が衝突しているラカイン州。いま州内のほとんどのエリアはAAが支配している。国軍は地上戦では太刀打ちできないため、空爆でAAに対抗している。ある村の村長さんが話してくれた。 「私の村も空爆に遭い、娘が足を失いました。これだけ激しい戦争をしてきて、そこで中国から停戦を促されても、言うことは聞きませんよ。私たちはそんな状況じゃない」 国軍の空爆は激しさを増しつつある。最近では見境がなくなりつつある。ラカイン州では、戦闘が再び起きる可能性のある市街を避け、住民は郊外に仮設の避難村をつくって生活しているが、そこへの空爆も厭わなくなってきている。 10月21日、国軍は、1000人ほどが暮らすラカイン州の避難村のひとつへ空爆を行い、市民5人が死亡した。ラカイン州ではこの2ヵ月間の空爆で、民間人約400人が犠牲になっている。そこには約130人の女性と、18人の子供が含まれているという。 下川裕治(しもかわ・ゆうじ) 1954(昭和29)年、長野県生れ。旅行作家。『12万円で世界を歩く』でデビュー。『ホテルバンコクにようこそ』『新・バンコク探検』『5万4千円でアジア大横断』『格安エアラインで世界一周』『愛蔵と泡盛酒場「山原船」物語』『世界最悪の鉄道旅行ユーラシア横断2万キロ』『沖縄の離島 路線バスの旅』『コロナ禍を旅する』など、アジアと旅に関する著書多数。『南の島の甲子園―八重山商工の夏』でミズノスポーツライター賞最優秀賞。近著に『僕はこんなふうに旅をしてきた』(朝日文庫)。 デイリー新潮編集部
新潮社