能登半島地震復興支援、勧進大相撲に行ってみた。大相撲から元気を!62年ぶりの勧進相撲は本場所とは異なる魅力が満載
◆安治川親方がチケットを切ってくれた 人の流れに従い進んだら、安治川親方(元関脇・安美錦)がチケットを切ってくれた。私がいきなり「本を買いました」と言ったら、親方は「はあ?」というお顔をした。本というのは、『けっぱれ相撲道[安美錦自伝]』(著者・安治川竜児、2022年5月24日、光文社発行)のことである。安治川親方が切ったチケットは、日記に貼って保存することに、その場で決めた。 国技館の館内は、石川県と富山県の物産や大相撲のお土産を買う人が大行列。私も地震災害は明日は我が身だと思い、長期保存ができる、力士たちの顔がパッケージのパンの缶詰と力士たちの姿があるペットボトル入りのミネラルウォーターを買った。 ここからが問題だ。私は両国国技館音痴なのである。蔵前国技館は得意だったのだが、両国国技館は迷う。年齢のせいだろうか? 案の定、「協会御挨拶」が始まってしまい、2階席の入口で動けない私に係員さんが、「協会御挨拶は、いつもは八角理事長(元横綱・北勝海)ですが、本日は春日野事業部長(元関脇・栃乃和歌)がして、土俵上にいるのは北陸出身の親方と力士ですよ」と小声で解説してくれた。御挨拶が終わると、その係員さんが、席まで連れて行ってくれた。
◆人を元気にする大相撲の力 第一幕は「熱唱のど自慢~北陸に捧げる応援歌~」。大栄翔、阿武咲、輝、平戸海、高安という横綱級歌唱力を誇る力士が土俵上で歌う。平戸海が「ライジングサン」を歌う時、館内は暗転。観客たちはスマホのライトを振って盛り上げ、美しかった。 私の横と後ろは英語や英語以外の言葉を話す外国人たちで、栃満と和歌桜の「初っ切り」が始まると、「相撲コント」という声がした。 「熱戦五番」は、音羽山親方(元横綱・鶴竜)、東関親方(元小結・高見盛)ほかが登場するOB戦。東関親方は、制限時間いっぱいになると顔を叩き、体を叩き、両肩を動かすという独特のルーティンをして「ロボコップ」と言われていたが、同じ動きを披露してくれた。 第2幕は、横綱・照ノ富士の堂々たる土俵入に感激。 ただし、幕内力士の土俵入りも良かった。観客から声がかかると、力士が土俵上で手を振るという、本場所でやったら八角理事長に叱られる光景を堪能できた。 人気力士が登場する19番の取組は、富山県出身の朝乃山、石川県出身の大の里、遠藤、輝、欧勝海の4人ほかが活躍し、観客たちの拍手と声援を浴びた。 正代と御嶽海の対戦は、二人の真剣に見えてユーモラスな動きに観客たちの笑いが起こった。取組は物言いがついたが、本場所の5人の審判と違い審判は二人だけ。取り直しとなり、正代は寄り切ろうとしても御嶽海がなかなか土俵から出ないので、御嶽海の胸をペチペチと何度も叩き、相撲コントのようだった。 復興支援のために作られた相撲甚句を春日山親方(元関脇・勢)が唄い、櫓太鼓の打分もあり、3時間にわたる勧進相撲は弓取式で終了。人を元気にする大相撲の力を感じた。
しろぼしマーサ