Z世代オーナーが大幅改良されたNDロードスターに感じたこと。「みあちゃん」が「ミアさん」に変化した...?
全グレードでマツコネ採用の背景&990Sとの別れ
今回の改良でS・NR-Aにもマツコネ2が標準装備となったため、全てのグレードで新しいディスプレイの質感を体感できるが、これは国土交通省が2024年5月以降に販売されるすべての自動車にバックカメラまたはバックセンサー等「後退時車両直後確認装置」の搭載を義務化したことによるものと考えられる。 逆にいえば、LSDレス、セグメントオーディオ採用などの徹底した軽量化により、安価に1トン切りのパッケージングを実現していたS・990Sのようなモデルは今後出てこないことを意味している。 もっとも10kg~20kg程度の重量であれば街乗りではほとんど違いを感じないだろうし、いざとなれば乗り手側の努力(つまりダイエット)で絞り出すこともできる数値ではあるが、990Sが売れまくっていたことを考慮すれば“1トン切り”という象徴的なモデルが消えたことは、マツダにとっても苦しいアップデートだったかもしれない。
より“スポーツカー”な乗り味へと変化
今回のビッグマイナーチェンジ、シャシー領域では「LSD」や「電動パワーステアリング」の変更とモータスポーツ用「DSC-TRACK」モード(サーキット走行用モード)の追加が行われ、パワートレイン領域では「1.5Lエンジンの出力向上」と「エンジンレスポンス向上」、「エンジンサウンドの進化」が行われている。 問題は、これらの変更がロードスターの本領である“公道のワインディング走行”で体感できるのかという点だが、安心して欲しい。サーキット経験ゼロ、かつ下道をのんびり走るのが趣味のポンコツ筆者であっても、走りの違いは体感することができた。 まず、走り出しの時点でステアリング操作の軽さに驚く。軽いといっても、ただ軽いだけという意味ではなく、回す時のフリクションが低減して回しやすくなったというイメージで、抵抗感や引っかかる感じがなくスムーズに回り、ステアリングを戻す時も従来よりもクイックに戻せるため、運転時の“腕や肩”の疲労度が全然違うのだ。 続いて少しアクセルペダルを踏み込んでみると、エンジンから聞こえてくる音が従来と全く異なることにも気付くだろう。回転数の上昇に比例して「キューン」といった感じの少しメカニカルな感じの音が響くのだが、これは2021年の年次改良(KPC追加)の際に、車外騒音規制で小さくせざるを得なかった排気音という形でのロードスターの“咆哮”が、エンジンサウンドという別の形で現代に蘇ったということなのだろう。 ちなみに、この音はエアクリーナ開口部の追加で人為的に発生させているそうで、RSでは標準装備、ほかグレードにはオプションで設定されるインダクションサウンドエンハンサーと組み合わせるとさらに大きく車内に響き渡り、エンジンと会話している気分が高まるので、ぜひ乗り比べて確かめてみて欲しい。 余談だが、ポンコツ筆者は2022年式のS スペシャルパッケージ(新型純正マフラー搭載車・ボンネットインシュレーター付)に乗っており、初めて運転した際に、「あれ、ロードスターってスポーツカーなのに音小さくない…!?」と驚いた経験があるくらい、近年のロードスターのサウンドは小さい。 筆者のようなKPC登場以降の極小サウンドモデルのオーナーであれば、この新旧モデルの音の違いは敏感に感じることができるはずなので、2015~2021年モデルからの乗り換えを検討中の方は、一度KPC搭載モデル(新型の静音マフラー採用車)に試乗してサウンドを体験してから比較すると何が変わったかよくわかるかもしれない。