父から100万円の生前贈与を受けました→税務調査官「これ、贈与じゃないですね」…税務署に否認されないためのテクニック、6つ【税理士の助言】
贈与税については年間110万円の基礎控除があることから、1年のうちの贈与額が110万円以下であれば生前のうちに相続財産を減らせることは多くの人が知っているでしょう。家族間での生前贈与も盛んに行われています。しかし、正しい手続きを踏まなければ、税務署に贈与として認められないケースも。今回は、娘Aさんの事例とともに、生前贈与の際に押さえておきたい6つのポイントを小原崇史税理士が解説します。 【すべて見る】都道府県別「知事の給与」…ランキング方式でチェック
娘Aさんと税務調査官のやりとり
娘Aさんは父から生前贈与として現金100万円をもらいました。しかし、その後の税務調査で問題が発生。以下は娘Aさんと税務調査官のやりとりです。 税務調査官:「これは、贈与じゃないですね。贈与契約書はありますか?」 Aさん:「いいえ、父が生きているうちに私にって。口約束ではありましたが……」 税務調査官:「贈与の意思や金銭の流れも明確に示されていませんね」 Aさん:「確かに、会話の記録も現金の受け渡しの証拠もありません」 税務調査官:「さらに、贈与税の申告もされていないようです」 結果として、娘Aさんの100万円は贈与と認められませんでした。娘Aさんのように父が亡くなってから、問題が発生するという事態を防ぐにはどうすればよいのでしょうか?
税務調査で否認されないためには
1. 贈与契約書を作成し、贈与の意思を明確にする 生前贈与を行う際に最も重要なのが、贈与契約書の作成です。贈与契約書は、贈与者と受贈者が贈与の意思を明確に示すための書面です。贈与契約書には贈与者と受贈者の署名・押印が必要です。これにより、口頭だけの約束ではなく、法的にも贈与が成立し、双方の合意があることを証明できます。 2. 金銭の流れを明確にする 贈与された金銭の流れを明確にすることも重要です。銀行振込などの方法で贈与を行い、その記録を残すことで、贈与が実際に行われたことを証明できます。現金での贈与は証拠が残らないため、銀行振込を利用して記録を残すことが必要です。 娘Aさんのように相続税の調査があった際に、故人の預金通帳に多額の出金があった場合、調査官から使い道について追及される可能性があります。その際に、現金手渡しでの生前贈与と説明しても、証拠がないため否認される可能性も。なお、銀行振込で生前贈与を行う場合であっても、贈与契約書を作成することが重要です。
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