【社説】米国防政策次官に核の傘懐疑論者…韓国に対策はあるのか
来年1月に就任するトランプ次期米大統領が22日、副長官や次官など国防総省の後続主要人事を明らかにした。その中で注目される人物は、対中国強硬派のピート・ヘグセス国防長官指名者と歩調を合わせて同盟との国防協力を総括するエルブリッジ・コルビー政策担当次官だ。トランプ氏はコルビー氏について「米国優先主義の外交・国防政策を擁護する、尊敬を受ける人物」とし「我々の軍事力を復元し、私の『力による平和』政策を履行するだろう」と評価した。 米国防総省で政策担当次官は長官、副長官に次ぐナンバー3の政策ブレーンであり、政権の4年間、国防政策の舵取り役を担う。ある意味、長官や副長官よりも世界各国の安保政策に直接的な影響力を行使すると評価されたりもする。 ところがそのコルビー氏の頭の中にあるトランプ政権2期目の国防政策は、韓半島(朝鮮半島)の安保地形を根こそぎ変えるほどの衝撃的な内容だ。コルビー氏は4月の中央日報の単独インタビューで、米国の安保戦略の核心は中国牽制であり、在韓米軍はこのために存在すると明らかにした。そして韓国は米国の支援に対する期待を減らし、自ら防御するべきだと述べた。また、北朝鮮非核化懐疑論者のコルビー氏は外交的に非核化だけに専念するのは虚構であり、韓国は独自核武装カードまでテーブルの上に載せるべきだとも強調した。 特にバイデン政権が力を注いできた政策も変える態勢だ。韓国に対する核の傘提供を強調した「ワシントン宣言」は、米国の複数の都市と300万人以上の米国人を北朝鮮の報復核攻撃の脅威に露出させるリスクをもたらすとし、米国はこの約束を守れないと断言した。 もちろん候補当時の政策方向は大統領就任後にそのまま実践されないこともある。しかし前例を見ると、外交・安保政策の根幹は簡単には変わらないという点で、米国発の安保「パーフェクトストーム」衝撃に非常な対応が必要な時という点は否認できない。 韓国は現在、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾局面を迎え、外交・安保リーダーシップが失踪した状態だ。主要国の首脳らが先を競ってトランプ氏と会おうとする状況の中、韓国だけが手足が縛られたまま鄭溶鎮(チョン・ヨンジン)新世界グループ会長の「トランプ氏15分面談」に喜ばなければいけない残念な状況が演出されている。 「同盟をロマンとしてのみ眺めてはいけない。米国は米国の利益を優先視し、韓国は韓国の利益を優先視するのが現実だ」。コルビー氏のこうした同盟観によると、我々は現在、一度も経験しことがない韓米同盟の時代を控えている。果たしてこのような時代を解決していく我々の対策はあるのだろうか。