王者に隙なし、大津が8発大勝で熊本決勝へ進出
[11.9 選手権熊本県予選準決勝 大津高 8-0 ルーテル学院高 水前寺] 第103回全国高校サッカー選手権・熊本県予選の準決勝が9日に水前寺競技場で行われ、第1試合は、4年連続21回目の優勝を狙う大津高が8-0でルーテル学院高を下した。 【写真】「全然違う」「びびるくらいに…」久保建英の9年前と現在の比較写真に反響 試合開始10分で大津が流れをつかんだ試合だった。立ち上がりこそ、積極策で前に出たルーテル学院のロングスローでゴール前に押し込まれる場面があったが、ボールポゼッションからサイドチェンジを繰り返し、右の舛井悠悟(3年)、左の小松皐(3年)が突破を仕掛けて相手を脅かした。 前半10分、舛井の突破からプレミアリーグWESTの得点ランク首位を走るFW山下景司(3年)がゴールを陥れたが、オフサイドの判定でノーゴール。それでも、欲しかった先制点は、間もなく手に入った。 前半12分、立ち上がりとは一転して、低い位置からパスをつないでビルドアップをしてきたルーテル学院に対し、大津は山下景と兼松将(3年)のツートップでプレス。相手がGKから最終ラインにつないだところで、山下景がボールを奪い、GKとの1対1を決めて先制点をマークした。 余裕が生まれた大津は勢いに乗り、21分に舛井のクロスから右DF野口悠真(3年)が追加点。その後も左CKからDF五嶋夏生(3年)のヘディングシュートがクロスバーをたたくなど攻勢を続けた。ルーテル学院は、34分に主将のDF佐伯拓夢(3年)が最終ラインからボールを運んでミドルシュートを狙ったが、ゴールの枠を外れた。 後半も、大津が中盤でボールを奪って攻撃する展開が続いた。J1昇格の清水に加入が内定しているMF嶋本悠大(3年)をボランチから左MFに移すと、中央寄りで起点を作り、サイド攻撃の加速を生み出した。 嶋本は「真ん中で溜めを作る、ゲームをコントロールしてサイドにボールを送る、チャンスメークをするのが仕事。ボールを奪われずに上手くできたと思う。プレミアリーグでは自分にマークが付いてくる。その中で何ができるかが大事と考えていて、その部分では、今日はたくさんボールに触れて良かった」と手ごたえを話した。 後半14分には右サイドを破った舛井がPKを獲得し、山下景が決めて3-0。5分後、今度は山下景が自身で抜け出し、前に出たGKをかわしてゴールへ流し込み、ハットトリックを達成した。 ルーテル学院は、後半22分にMF興梠空(3年)が右へ展開し、FW丸山陽生(3年)のクロスにDF佐伯が飛び込んで反撃。しかし、大津は、選手交代で運動量を上げ、攻め手を休めなかった。疲労から足が止まった相手を、フレッシュな攻撃陣で凌駕。後半25分に左を崩して途中出場のFW岩中翔大(3年)がヘディングシュートを決めて5点目。後半38分に右からのクロスに途中出場のFW山下虎太郎(2年)が飛び込んで6点目。アディショナルタイムにも松本昌大(3年)、岩中がゴールを奪い、8-0と得点の山を築いた。 大津の山城朋大監督は「メンバーを固定してしまうと、フレッシュさがなくなる。トーナメントは、勢いのあるチームに飲まれがち。ラッキーボーイ的な、大会を通して一気に上がってくる選手も必要になる」と意図的に攻撃陣に刺激を入れていることを明かした。 第100回大会で準優勝、101回大会で準優勝と、近年は全国大会で上位の常連。追われる立場の難しさもあるが、主将を務める五嶋は「インターハイは県大会決勝(延長戦で勝利)も、全国の1回戦(敗戦)も相手が対策をしてきて、難しい試合になった。その経験があるから(今は難局を迎えても)リラックスして自分たちのプレーをすることが勝利に近づくと思って、深く考えすぎず、プレミアリーグ(WEST)で1位であることも自信にしてやれている」と自信を示した。 大津は、プレミアリーグと高校選手権の2冠を狙えるチーム。まずは全国切符の獲得に向か う。全国大会出場チームが決まる決勝戦は、11月16日に水前寺競技場で行われる。 (取材・文 平野貴也)