1億円以上かけた「鵜小屋」 取り壊す「行政代執行」がスタート 京都の観光名所・嵐山に放置 所有者は誰かあいまい 法的な争いに発展する可能性も
京都の観光地・嵐山に建てられた「鵜小屋」を強制的に解体する「行政代執行」に14日、京都府が着手しました。 ■【動画で見る】1億円の「鵜飼い小屋」撤去 京都・嵐山で行政代執行 撤去費めぐり船会社は法廷闘争へ 国内外からの多くの観光客でにぎわう京都・嵐山。この嵐山公園・中之島地区にあるのが、鵜を飼育するために作られた「鵜小屋」です。 京都府は「この場所は都市公園という施設で、都市公園法上認められない形で鵜小屋が建っているので、元の適正な状況に戻す」として、行政代執行に踏み切りました。
■建物を所有していた団体は解散
この「鵜小屋」は長年放置されていて、中は草が伸び、荒れた印象です。なぜこんなことになってしまったのか。 鵜飼見物船などを運航する嵐山通船によると、鵜飼文化を広めようと設立された「嵐山鵜飼観光文化振興協会」の副理事長を務めていた嵐山通船の前社長らが、この小屋を建てました。
鵜の飼育環境の改善や鳥インフルエンザの防止を目的に2018年ごろから1億円以上を支出してこの小屋を建て、建物の所有は協会が、鵜の飼育は通船が担うことになっていました。 しかし、通船の赤字経営などを理由に2020年に前社長が解任され。翌年には協会も解散し、その後は放置されているというのです。
嵐山通船・小島義伸代表は「まず屋根がない、鳩のフンとか降ってきて鵜が病気になる。そもそも鵜小屋として使う気がない。これで1億円以上かけている」と話します。 嵐山通船によると、去年、京都府から小屋を撤去するよう通達が来ていましたが、嵐山通船として設置に関与していないとして、対応してきませんでした。
■費用請求は鵜飼見物船の会社へ? 会社は「うちの持ち物じゃない」
そうした経過を経て、2月14日、京都府は強制的に解体する行政代執行に着手しました。取り壊し費用およそ990万円について、府は、嵐山通船に請求する方針です。 嵐山通船・小島代表は「この小屋自体はうちの持ち物じゃないので壊そうと関係ない。ただ、壊すお金をうちに払えと言ってきたのが、率直に気に入らないです」と話していて、法廷で争う意志を示しています。 京都府によると、公園一帯は、国有地を京都府が借り受けている土地で、ここに小屋を建築すること自体は、当時認可が下りているので問題なく始まりましたが、目的を達しない状態のまま公園内に放置されていることが都市公園法上問題で、今回の行政代執行が決まったということです。 京都府は、嵐山通船に請求する理由を明らかにしていませんが、「原因を作った関係者に対して請求をする」とコメントしています。
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