噴火した御嶽山の再生 二ノ池山荘・小寺さんが写真集に 長野県木曽郡木曽町
御嶽山(3067メートル)の山頂近くの火山湖・二ノ池のほとりに立つ山小屋「二ノ池山荘」(長野県木曽郡木曽町三岳)支配人の小寺祐介さん(44)がカメラに残してきた記録が2冊の写真集にまとまった。平成26(2014)年の噴火災害から10年を迎えるのに合わせて企画。「御嶽山~噴火から復興まで~」のページをめくると、10年間の復興の歩みをたどることができる。「御嶽山の花暦」では、きれいな高山植物に彩られる御嶽の魅力を紹介している。 2冊ともA4判カラーで、山荘の運営会社が自費出版した。「噴火から復興まで」は96ページで、噴火が起きた26年の6月から昨年11月までの写真が載る。表紙には、山頂方向から二ノ池越しに迫り来る噴煙の写真を使った。小寺さんは「山小屋1階の広間の窓からカメラを向けた。一番最初に見た衝撃的な光景だった」と振り返る。 火山灰に覆われて「色がなくなってしまった光景」を紹介する一方で、山小屋の再建や登山道の整備、シェルター設置による安全対策の進展なども見て取れる。小寺さんは「復興の歩みを分かりやすく伝えたかった。穏やかな『お山』に戻った姿を写真で知ってほしい」と願う。 「花暦」は72ページ。複数枚の写真を載せたオンタデは「灰だらけの中から芽が出ていた様子に勇気をもらった」一枚だ。クモマグサは噴火を境に二ノ池周辺で見られなくなっているといい、小寺さんは「クモマグサが再び目にできるようになれば自然の復興を心から感じられるのでは」と話している。 「噴火から復興まで」は1890円(税込み)、「花暦」は1650円(同)。問い合わせは二ノ池山荘(電話090・4668・7000)へ。
市民タイムス