殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」も 一度繁殖したら駆除は困難 最も効果的な予防法は?
刺されると強いかゆみを伴う厄介な害虫「トコジラミ」。フランス、韓国などで流行し、国内でも都市部を中心に相談件数が増えている。新型コロナ下で抑えられていた人の往来が盛んになったことで、人や荷物にくっついて移動するトコジラミが増え、その勢力を拡大しているとみられる。中には、従来の殺虫剤が効かない「スーパートコジラミ」もいて、駆除が難しくなっている。 【写真】トコジラミの成虫。実はカメムシの仲間
自宅はもちろん、観光先でもトコジラミに振り回されずにゆったりと過ごしたい。そこで、害虫駆除専門業者でつくる「長野県ペストコントロール協会」会長で「朝日サニター」(長野市)社長の宮沢貴光さん(52)に、トコジラミの習性や予防策を聞いた。
トコジラミの特徴
トコジラミは暗く、温かい場所が好きで、昼間はベッドや布団の隙間に潜んでいる。英名は「Bed bug」(ベッドバグ)。成虫は5ミリほどで体は茶色く、足はかぎ爪をしている。名前に「シラミ」が付いているが、実はカメムシの仲間。カメムシほどではないものの、触れると独特の臭いがするという。
トコジラミの餌は、人間や動物の血だ。夜、周囲が暗くなると、隙間からはい出て寝ている人を刺し、血を吸う。刺している間、血液が固まらないように注入する唾液が強いかゆみの原因だ。朝、空が明るくなってくると、空腹を満たしたトコジラミは再び暗い隙間に帰っていく。
また、トコジラミは繁殖能力が高い。メスは卵を毎日産み、2週間ほどで幼虫にふ化する。卵は直径約1ミリ、幼虫は1~2ミリでどちらも透明がかった乳白色をしており、見つけるのは極めて困難だ。
刺された場合は、どうしたら良いのか。宮沢さんは「市販のかゆみ止めを塗ることが基本。激しいかゆみや発熱がある場合などは皮膚科を受診して」と勧めている。
プロでも難しいトコジラミ駆除
トコジラミは潜伏場所を絞り込むことが難しいため、自力での駆除は難易度が高いという。プロの駆除業者は、掃除機でトコジラミを吸い上げたり、スチーム洗浄や薬剤などで殺したりする駆除作業を1カ月ほどかけて繰り返し行う。