「業務上ミスが多いわりに定時退社だから減給処分ね」と言われたのですが、ミス以外悪いことはしていませんよね……?
「業務上のミスが多いことや定時退社を理由に、減給処分の対象となったことがある」 ファイナンシャル・プランナーをしていると、そんな経験のある方から話を聞くことがあります。そこで、業務上のミスと定時退社を理由とした減給処分が有効であるかどうかについて、実際にそのような経験をした方の話を例に考えていきます。
減給はそう簡単にできないことが基本
遅刻や早退をしているとか、そもそも欠勤しているなど、労働力を提供していないといった状況でもない限り、減給処分は基本的にできないようになっています。減給が認められる例を一つ挙げるとしたら、懲戒処分の一環として行われる場合があります。 一般的に懲戒事由は、就業規則によって定められています。しかし、就業規則に減給事由が定められていたとしても、そこには合理的な理由が必要です。 ここでいう「合理的な理由」に関して、少なくとも、定時退社を毎日繰り返していることを理由とした減給は難しいでしょう。定時退社は悪いことではないからです。 「業務上必要な業務の対応を怠っている」「そもそも勤務中もまともに仕事をしないといった勤務態度も悪く、さらに遅刻も多い」などというような場合はともかく、「通常どおり勤務したうえで定時退社している」という程度であれば、減給は難しいでしょう。その点を考えると、業務上のミスが多いことや定時退社をしていることを理由とした減給処分は難しいといえます。
仮に減給されるとしたら、いくらまで認められるのか
ここで気になることは「万が一、減給が認められた場合には、それがいくらまで認められるか」という点です。 懲戒による減給の場合、1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、複数回の減給総額は、一賃金支払期(月給など)における賃金総額の10分の1を超えてはならないとされています。例えば、1日の賃金が1万円で、月給が20万円の方に対する懲戒処分としての減給は、1回当たり5000円、1ヶ月で2万円を超えてはいけないということになるわけです。