「トロッコ問題で誰を見殺しにするか」の回答はGoogle「Gemini」とマイクロソフト「Copilot」でどれだけ違う?
5人を助けた場合は「5人の命が助かることで、多くの人々の生活にポジティブな影響を与える可能性がある(10点)」などのメリットが挙げられています。 一方で「家族を失うことで深い悲しみと喪失感を感じる。(10点)」「家族の反応: 他の家族や親戚から非難される可能性がある。(8点)」「精神的ストレス: 長期的な精神的ストレスやトラウマを抱える可能性がある。(9点)」といったデメリットが極めて大きなものだと判定されています。 マイクロソフト(Copilot)は、Google(Gemini)よりも利己的であると言えるでしょう。ちなみに「厳密」モードでも同様の回答結果。5人を助けると合計が「-4点」、1人を助けると「0点」であり家族を助けるべきだという結論でした。
「バランスモード」では質問に対して不明瞭な回答しか出力されませんでした。
「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストだった場合の採点
「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストだった場合の採点は、筆者が検証した限りではマイクロソフト(Copilot)で大きな変化がありました。 ■Google(Gemini)の回答 まずGoogle(Gemini)は「1人が家族で、5人が赤の他人」とほぼ回答品質も採点も変わりませんでした。「1人」が家族で「5人」が世界的なアーティストであろうと、メリットとデメリットは同点です。高度な倫理的判断をすることができないAIであるという見方もできますし、「利己的ではない」「ドライ」なAIと見ることもできるでしょう。 ■マイクロソフト(Copilot)の「創造性モード」の回答
マイクロソフト(Copilot)の「創造性モード」に「5人が世界的なアーティストだった場合」について質問をすると、回答を拒否されてしまいました。10回ほどトピックを新規に作成しなおし、同じ質問をしたり微妙に質問文を変えても完全な「回答拒否」です。 つまり「創造性モード」は「無回答」という答えでした。なお「バランス」モードはやはり不明瞭な答えに終始し、倫理的な問題を問うのには使えませんでした。 ■マイクロソフト(Copilot)の「厳密」モードの回答 一方、「厳密」モードは「1人が家族で、5人が世界的なアーティストだった場合」についても回答をしてくれました。なお、おさらいですが「1人が家族で、5人が赤の他人」だった場合は、創造性モードと同様に1人の家族を助けることを支持していました。 そんな「厳密」モードですが、「1人が家族で、5人が世界的なアーティストだった場合」は「1人の家族を助ける」と「5人のアーティストを助ける」の合計点(メリット・デメリット)が全くの互角という回答でした。 相手が「赤の他人」ならば家族を助けるものの、相手が「アーティスト」ならば五分五分というのは衝撃的な結果ではないでしょうか。