中国不動産大手の万科、本社プロジェクト売却へ-資産処分で現金確保
(ブルームバーグ): 資金繰り難に陥っている中国の不動産開発大手、万科企業は新本社の建設をかつて予定していた広東省深圳市の不動産プロジェクトを売却する計画だ。資産の処分を進め、流動性の向上を目指す新たな取り組みとなる。
深圳市政府系の新聞に8日掲載された用地使用権の譲渡に関する公告によると、未完成となっている今回の商業用不動産プロジェクトは今月18日に売りに出される。譲渡開始価格は22億元(約470億円)。万科は2017年に31億元で取得していた。
国有企業が主要株主に名を連ねる万科は、中国不動産危機の新たな火種となっており、同セクターが直面する課題の深刻さを浮き彫りにしている。中国最大の開発企業だったこともある万科は現在、碧桂園などと共に生き残りをかけた闘いを余儀なくされている。
中国不動産大手の万科、非中核事業撤退で流動性向上へ-株主総会
深圳市西部の新興ビジネス地区に位置する同区画には、高さ359メートルの高層ビルやオフィス、ショッピングモール、ホテルの建設計画が含まれていた。
万科による今回のプロジェクト売却計画については、証券時報が先に報じていた。ブルームバーグ・インテリジェンスのダニエル・ファン氏率いるクレジットアナリストらはリポートで、売却できれば万科の短期的な資金調達ニーズを満たす一助になる可能性があると指摘した。
ブルームバーグの集計データによれば、万科のドル建て6月7日償還債は額面1ドルに対して約97セントで取引されている。事情に詳しい関係者が今週語ったところでは、万科は今月25日に満期を迎える14億5000万元規模の社債償還についても資金を用意したと一部の投資家に伝えた。
28年と29年に償還を迎える万科のドル建て債はなお額面1ドルに対し60セントを割り込んでおり、通常ディストレストと見なされる水準に沈んでいる。
原題:Vanke to Sell Headquarters Project as It Divests Assets for Cash(抜粋)
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