「横浜から“秩父”へ行けるんですか!」 西武Sトレイン“最長系統”のイマ 8年目でも“知る人ぞ知る”6路線直通
挽回策は “切り札” の投入か
なぜ、副都心線、東横線、みなとみらい線からの乗車が振るわないのか、その理由として考えられるのは2点あります。1つは認知度が十分ではないことで、筆者の知り合いの東横線沿線在住者は「秩父に行く電車が走っているのは知らなかった」と話していました。みなとみらい線でも、元町・中華街駅のプラットホームにある停車駅案内でSトレインのことは触れていません。 もう1つは背もたれが倒れない硬めの座席ながら、自由が丘以南から西武秩父まで座席指定料金が大人で1060円かかる点です。 この価格設定に割高感を持つ向きもあるようで、挽回を目指すのならば “切り札” として西武の特急車両「ラビュー」001系に切り替えるのも一手ではないでしょうか。 関係者によると、ラビューは地下鉄乗り入れができる保安装置を備え、ドア位置はホーム柵に対応しています。また、座席は背もたれが倒れ、体を包み込むような座り心地なので2時間を超える乗車の快適性はより向上しそうです。大きな窓からの視界も楽しめます。 ただ、そのためには編成数を増やす必要があり、多額の設備投資がかかるため、西武が二の足を踏むかもしれません。その場合には、Sトレイン1号では降車専用となっている東京メトロ副都心線池袋駅でも乗れるようにし、西武の池袋駅を8時30分に出発する特急「ちちぶ」7号の運転は取りやめる、という方法も考えられます。 復路も同様に、西武秩父17時7分発の元町・中華街行きSトレイン4号をラビューに切り替えた場合、17時24分発の「ちちぶ」44号を代替できるかもしれません。 停車駅や特急料金をどのように設定するかなどの課題もあり、「妄想鉄」的なアイデアと受け止められるかもしれません。それでも、みなとみらい線から西武秩父線に至る“6路線直通”電車はユニークな存在です。その維持に向け、思い切った活性化策を期待したいところです。
大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)