「実家の片付け」は帰省中が大吉!やる気のない親を変身させる"魔法の片づけ術"
棚を置いたら見た目もいろいろな問題もスッキリと解決
床置きをやめて、棚を設置したらきれいに整頓された機能的な玄関になりました。棚には必要な物が、使用頻度の高い順番に棚の上→上段→下段と収納されています。よく使う物は立ったままの無理のない姿勢で取り出しやすいので、足腰に負担がかかることがありません。また、オープンな棚に入れるカゴ風のボックスをそろえて、統一感を持たせました。いろいろな色が入っているスプレー缶などの目隠しにもなって、見た目もスッキリ。玄関がきれいに整ったことで、今まで買ってきた物をすぐに玄関の床に置いていたクセもなくなり、すぐにリビングやキッチンに行って片づけられるようになったそうです。 このように棚を置くときは、サイズ感が重要です。まずは、玄関に置かれていたさまざまな物を全部見直し、必要な物だけを残します。次に、残した物を収納できる容量をイメージしながら、棚を置く位置を決めてサイズを測ります。今回の場合、注意しなければいけないのは、鏡や電気のスイッチなどと重ならないようにすることです。適当に測って買うと、いざ設置のときにうまく入らなくて「しまった!」ということになりかねません。サイズはきちんと測るようにしましょう。お店などでサイズ表記があっても、個体によって多少の差が生じるので、1~2cmほどの余裕をみておくといいですね。
ポイントは「前向きな声かけ」と「積極的に手を動かす導き方」
「玄関を片づけたい」と思ったときに、鈴木さんは母親に「ケガをしそうで危ない」などの問題点を優しく丁寧に伝えました。ここで「ダメだよ!」のように強い口調になってしまうのはNGです。親を心配しているからこそ言っているということを、きちんとわかってもらいましょう。鈴木さんはさらに、「広い玄関が素敵だから、上手に使おう」「お花を飾ったらいいんじゃない?」など、ちょっと気分が上がるような声かけもしました。そうしたら、片づけることに前向きになってくれたそうです。 親が片づける気分になったら、すぐに始めることをおすすめします。時間が経ってしまうと、何かを始めることがめんどくさく感じて、結局そのままになってしまうケースが多いからです。帰省にもタイムリミットがあるので、やる気になった場所はすぐに片づけてしまいましょう。「棚を置いた方がいいよ」という提案だけでなく、完了するまで実際に手を動かしてあげてください。鈴木さんもすぐに棚と中に入れるボックスを買い、片づけを始めました。“物を捨てる”という考えだと、親世代の人たちは「もったいない」と抵抗感を抱くことがあります。そうではなくて、“使う物だけを残す”という感覚で必要な物だけを一緒に選ぶと、スムーズに選別できます。ここでも声かけは大切です。「なんで懐中電灯が2個あるの? 使わないでしょ!」では、よくありませんね。「懐中電灯は2個とも使う?」と、物の所有者である親の意見を聞きましょう。このような声かけや行動によって、不要な物にスペースを取られてごちゃごちゃして見えた玄関が、スッキリときれいに整えられました。いつもは離れて暮らす子どもの帰省のタイミングで、一緒に話しながら作業をして家を整えることは、親にとっても楽しいひと時ではないでしょうか。 家の中で1ヶ所が整うと、他の場所もきれいにしたくなってくるという方が多いです。鈴木さんの家も、玄関の他に廊下にあった棚を買い替えることにして、あふれていた物を収納したそうです。スペースが小さな場所でも片づいたことのメリットを親に感じてもらえれば、帰省が終わって自分がいなくなっても片づけが進むことがあります。実家の片づけが気になっている方は、ぜひ参考になさってくださいね。
【PROFILE】西崎彩智
西崎彩智(にしざき・さち)/1967年生まれ。お片づけ習慣化コンサルタント、Homeport 代表取締役。片づけ・自分の人生・家族間コミュニケーションを軸に、ママたちが自分らしくご機嫌な毎日を送るための「家庭力アッププロジェクトⓇ」や、子どもたちが片づけを通して”生きる力”を養える「親子deお片づけ」を主宰。NHKカルチャー講師。「片づけを教育に」と学校、塾等の全国の教育施設にて講演・授業を展開中。テレビ、ラジオ出演ほか、メディア掲載多数。