虎のソナタ 虎番〝ベンチ入り〟…懐かしい光景復活 コロナ禍で変わった取材方法、岡田監督のおかげで…
(セ・リーグ、阪神0-2広島、6回戦、広島3勝2敗1分、7日、甲子園)終盤の満塁のチャンスに、ボルテージは一気にクライマックスに。一本出ていれば…。甲子園のファンは「六甲おろし」を歌いたかっただろうなぁ。風船を飛ばしたかった…。いやいや、ジェット風船はまだ飛ばしてはいけなかった。 【写真】馬場コーチに自らノックのボールを渡す阪神・岡田監督 試合前。懐かしい光景が、甲子園のベンチに戻ってきた。練習中のこと。岡田監督を、トラ番記者が囲んで、会話を弾ませていた。 報道陣がベンチに入って取材する〝当たり前の取材方法〟は2019年のシーズンが最後になっていた。世界中をパニックに陥れたコロナ禍によって、世の中は激変。プロ野球の取材方法も大きく様変わりし、トラ番もベンチに近づくことすら許されなくなって、4シーズンが経過。このまま、永遠にベンチでの取材はなくなってしまうのでは…。そんな心配もした。 「ボクにとっても、初めて体験する取材スタイルでした。1時間半ぐらい、ずっと話して下さって。貴重な時間を過ごさせていただきました」 サブキャップ・原田遼太郎がトラ番に加わったのは20年のシーズンから。あの年、2月のキャンプ中に、横浜港に停泊中の豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」内でコロナ患者が出てしまう。大変そうだなぁと思っていたが、その後の悪夢の日々は想像を絶していた。 ソーシャルディスタンス、3密、ステイホーム、アベノマスク、ロックダウン、クラスター…。次々と、忌まわしき流行語が誕生する中での取材は、思い出しても辛い。 「ベンチにいるボクらの姿を見た中野が、ビックリした顔をしていたのが印象的ですね」 原田記者も〝初体験〟だが、20年以降に入団した選手たちにとっても、ベンチにトラ番がいるのは〝初体験〟。佐藤輝、森下ら主力選手も同じ感覚だろう。慣れるのはしばらく時間がかかる?! ただ、岡田監督は〝勝手知ったる〟取材スタイルだ。前回の監督時代もそうだし、現役時代は歴代の監督がトラ番と談笑しているのを、選手として眺めてきた。 聞けば、指揮官が早い段階でベンチでの取材復活を球団に具申してくださっていたとか。おかげで、12球団のどこよりも早く、ベンチ取材が可能になった。タイガースが流れを作ったことにより、11球団が、球界全体が、規制を解いて、以前の平和な気分で取材できる野球界になってくれれば…。