ハリルをイラつかせるセレッソ復帰・清武の凱旋デビュー延期事情とは
ピッチだけでなくベンチにも、お目当ての選手を見ることができない。右のでん部から右太ももにかけての違和感を訴えていたセレッソ大阪の清武弘嗣が、開幕戦に続いて4日の浦和レッズ戦も欠場した。 今月下旬に再開されるW杯アジア最終予選へ、司令塔候補を視察するために埼玉スタジアムを訪れた日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督も、思わず「残念だ」と表情を曇らせた。 「清武のプレーは長く見ていない。週明けにセレッソとコンタクトを取って状態を確認したい」 スペイン1部の強豪セビージャで、ホルヘ・サンパオリ監督の構想から実質的に外れていた清武は昨年末から古巣セレッソへの復帰を希望。ヨーロッパの冬の移籍市場が閉まる1月31日のぎりぎりになって、交渉がまとまった。 ハリルホジッチ監督はレベルの高いスペインでのプレーがベストとしながらも、出場機会を求めた末の清武の決断に「確実に試合に出られる状況は悪くはない」と理解を示してもいた。 しかし、実際にJ1がスタートしてからはピッチにすら立てていない。果てして、4年半ぶりとなる日本サッカー界復帰は正しかったのか。セレッソのFW杉本健勇はレッズに1‐3で完敗した試合後、大阪でテレビ観戦していた清武の胸中をこう慮った。 「試合に出るために日本へ戻ってきたわけですから。試合の結果もそうですけど、試合そのものに出られないことが悔しいんじゃないでしょうか」 開幕直前になって違和感を訴えた箇所は古傷でもあり、年が明けてからもしっくりいっていなかった。宮崎市ですでに始まっていたキャンプに合流したのは2月5日。早朝、午前、午後の3部練習も厭わないなど、厳しい指導で知られる尹晶煥・新監督のもとで、急ピッチで体を仕上げていった。 その過程で古傷が再び悲鳴をあげてしまったのだろう。違和感が痛み、そして治療を要する故障へと変わる前の苦渋の末の判断だったのではないかと杉本は続ける。 「帰ってきてからというもの、キヨ君(清武)はかなりハードな練習をしていたので。多分ですけど、無理してやっていた部分もあるはずだし、長くかかる(けがになる)前に自分の判断でやめていたと思うので」 今回の復帰に当たって、清武は玉田稔社長をはじめとするセレッソのフロント、メインスポンサーのヤンマーへの感謝の思いを公言している。スペインから機上の人となったヨーロッパ時間の1月31日の段階では、実はセビージャとセレッソの交渉はまだまとまっていなかった。