受験と生理が重なったら?85%が「不安」◆追試も可能に、早めの受診を #令和の学び舎
◇公立高校入試では追試措置も
こうした「受験と生理」の問題は国会でも議論され、生理による体調不良が受験で不利にならないような対応も広がりつつある。文部科学省は23年6月、全国の教育委員会に対して、高校入試で調査書の出欠状況を活用する場合に、生理に伴う欠席が不利に取り扱われることのないよう求める通知を出した。同年12月には、公立高校の入試当日に関しても、生理による体調不良を追試験の対象に含むよう配慮を求めている。 長野県では通知を受け、24年1月に追試験の対象拡大を発表。これまでは、「新型コロナウイルスやインフルエンザに感染し、重症化した場合」を対象としていたが、生理に伴う体調不良も追試を認めることとした。千葉県でも同様に、医師による診断書もしくは在籍中学校長の証明があれば、生理痛やPMSといった生理に伴う体調不良について、「追試験の対象」としている。 診断書の有無や追試験の実施方法については各都道府県によって異なるため、詳細は県のホームページなどでの確認が必要。今年6月には、新たに大学入試においても、高校の出欠状況を合否判定に用いる場合、生理に伴う欠席を不利に扱うことがないよう通知しており、同省の担当者は「受験生が安心して当日を迎えることが力を発揮することにつながる」と話す。 ◇生理に不安を感じたら?専門家のアドバイス 「中学受験の前日に初めて生理が来て戸惑った」「受験会場ではどれくらいの頻度でナプキンを変えられるのか」―。受験生や受験を経験した女性たちからは「受験と生理」に関する切実な悩みが聞かれた。職場での生理休暇がニュースに取り上げられるなど、生理について少しずつオープンに話せるようにはなってきたが、男性教諭や試験官にはまだまだ言い出しづらい面も残る。 生理の悩みを抱える受験生が、安心して本番に臨むためにはどうすればいいのだろう。多くの受験生から生理の相談を受けている「Inaba Clinic」(東京都渋谷区)の稲葉可奈子院長に尋ねた。 ―生理に悩む受験生にはどのようなアドバイスができますか。 経血が多い、生理の周期が決まっていない、学校を休んでしまうほどしんどい日があるなど、生理について少しでも悩みがあれば、痛みの有無に関わらず、いつでも婦人科に相談しにきて欲しいです。生理がしんどいのはあなたのせいではありません。症状を我慢する必要はありません。 ―生理痛やPMSにはどのような治療法がありますか。 月経の周期をコントロールし、生理痛の緩和効果などが期待できる低用量ピルに加え、ホルモン剤や漢方薬などの選択肢があります。受験直前に婦人科を受診しても、すぐに生理をずらせるとは限らないのと、体調や疾患などによって薬の合う・合わないがあるので、悩んでいる受験生はなるべく早めに来て欲しいと思います。 ―受験当日に生理が重なってしまった場合に取れる対策などはありますか。 ナプキンや鎮痛剤を持参しておくことです。万が一、試験の途中で生理になるかもしれないことを考慮するなら、心配な人は経血などを吸収する「吸水ショーツ」をはいておくと安心かと思います。 ―受験生の子どもを持つ保護者の方へ呼び掛けたいことはありますか。 生理痛やPMS症状については、今や保険適用で治療できる時代です。ピルについても「避妊薬」という印象を持っている人が多いかもしれませんが、生理痛などを治療するためのれっきとした「治療薬」です。お子さんが生理について「しんどい」と話していたら、ぜひ受診を勧めてあげてほしいです。 #令和の学び舎 時事ドットコム取材班オリジナル連載企画。小学校から大学まで、「令和の学び舎」で起きているさまざまな変化を深堀りします。