受験と生理が重なったら?85%が「不安」◆追試も可能に、早めの受診を #令和の学び舎
「生理による腹痛や眠気で勉強に集中できない」「受験に重なったら自分の実力を出し切れるのか不安」―。「受験と生理」の問題に不安を感じている女子中高生は、全体の約85%に上ることが民間の調査で分かりました。国は高校・大学の入試で生理に伴う体調不良に配慮するよう求めていますが、生理の症状は言い出しづらく、つい我慢をしてしまいがちです。受験シーズンを前に、悩む生徒の本音を取材し、万全の体調で試験に臨むための対策を探りました。(時事ドットコム取材班 谷山絹香) 【アンケート】受験日、どう対策? ◇「受験が終わるまで来て欲しくない」 「痛い。どうしよう」。神奈川県内に住む高校3年生の女子生徒(18)は、夏休み明けの定期テストの最中、急な生理痛に見舞われた。これまでに経験したことがないほどのキリキリとした腹部の痛み。パニックになり、全くテストに集中できなかった。「これが受験本番だったら…」。考えると怖くなった。 女子生徒は、生理の3~10日前から見られる精神的・身体的な不調である「月経前症候群(PMS)」にも悩まされている。情緒不安定になったり、眠気が止まらなくなったりするといい、「ただでさえ受験で不安なのに、問題が解けないと普段よりも考え込んでしまい、周りと比べて落ち込むこともある。勉強のやる気が湧かないとき、なぜかと考えたら生理前だったということが多い」と振り返る。 今後は模試が続くほか、私立大学の入試では、週に複数の試験を受ける日程が2週間ほど続く。どこかのタイミングでは、生理や生理前の不調と重なる可能性が高い。「入試当日はもちろんだが、受験は本番に向けた1日1日がとても貴重。生理の間、体調が悪く勉強に集中できないのは大きなロス」といい、「受験が終わるまでは、ずっと来て欲しくない。正直に言うと、生理がない男子がずるいなと思ってしまうときもあります」とつぶやいた。 ◇1カ月間生理止まらず 生理の周期が乱れる「月経不順」に悩むのは東京都内の中学3年生の女子生徒(15)。今年の6月ごろから生理が1カ月続く状態を繰り返しているといい、「1週間来なくなったと思ったら、また1カ月生理が続く。経血量も日によってばらばらで、貧血によるめまいや立ちくらみを起こすこともある」と話す。 修学旅行でも、生理のために同級生と一緒に入浴することができなかった。悩みを相談した友達には「早く病院に行きなよ」と言われたが、どこに行けば良いのか分からなかった。月経不順で「ずっと妊娠できないのかなと不安だった」と打ち明ける。 塾では、休み時間のたびに椅子に経血が付いていないか不安になり、白いスカートもはきづらい。今年は学校のプールの授業もほとんど出られなかったという。「授業に参加できなかった分、見学カードをたくさん書いた。内申に響いていないといいのですが…」と心配そうに話していた。 ◇4人に1人が「受験日に生理」経験 2024年4月、健康情報サービス「ルナルナ」を提供する「エムティーアイ」が全国の女子中高生やその保護者ら1938人を対象に実施した調査によると、「受験経験がある」と答えた中高生の中で、受験日と生理日が重なることに対して、不安を感じたことが「ある」と答えた人は85.4%に上った。実際に受験日と生理が重なったことがある中高生も全体の27.4%いた。 どのような不安があるのかを複数回答で尋ねたところ、「生理痛などの体調不良への不安」が81.9%で最も多く、「経血漏れなどの不安」が66.2%、「試験に対して、自分の実力を出し切れるか不安」が59.8%、「生理に伴う精神的な不安」が49.5%と続いた。 一方、受験日までに検討した対策(複数回答)では、6割以上の人が「夜用など長時間生理用ナプキンを用意する」と答えたのに対して、「ピル処方による生理日調整をする」(5.3%)、「婦人科を受診して、相談する」(3.3%)といった医療機関を活用する生徒はそれぞれ少数だった。「特に何も検討しなかった」と回答した人も9.1%おり、その中には「我慢するしかないと思った」「どのような対策をすべきか分からなかった」との声もあった。