ラムダワンでスーパーリーンバーン? マツダSKYACTIV-Zとはどんなエンジンになるのか?
内燃機関の可能性を追究するマツダ。そのマツダは2024年11月7日の2025年3月期第2四半期決算説明会のなかで、2027年中の市場投入を目指して開発中の「SKYACTIV-Z」エンジンの存在を明らかにした。果たしてどんなエンジンなのか? SKYACTIV-Z=究極のガソリンエンジン? 説明会で明らかにされたのは、「さらなる理想燃焼を追求し、環境、走行性能を高めた4気筒ガソリンエンジン」「2027年中の市場投入を目指す」「将来は直列6気筒エンジンにも、この新型エンジンの燃焼技術を移植して環境性能を高める」「欧州ユーロ7、米国LEV4・Tier4などの厳しい環境規制に適合する」ということだ。 「そして、「このSKYACTIV-Zエンジンは理想燃焼であるラムダワン燃焼を使い、低回転から高回転まで広いレンジでスーパーリーンバーン燃焼を実現することで高い熱効率を実現し、優れた環境性能と走行を提供できます」と説明された。その後の各社の報道では、そのままこのフレーズがそのまま使われていたが、ラムダワンとスーパーリーンバーンは両立しないはずだ。ラムダワン(λ=空気過剰率)は、理論空燃比のことだから、ガソリンエンジンならA/F=14.7:1だ。燃料1gに空気14.7gという比率だ。また、スーパーリーンバーンとは、λ>2のことだから、燃料1gに対して空気約30gということになる。 λ=1を守ると、空気中に含まれる約21%の酸素分子(O₂)を燃料中の水素原子(H)と炭素原子(C)がすべて使い切り、ガソリンが持つ最大限のエネルギーを発生しながら、同時にNOx(窒素酸化物)やCO(一酸化炭素)など余分な酸化物の発生を抑えられる。 大車林によると、「空気過剰率(excess air ratio)」 実際に供給された空気の質量を理論上必要な最少空気質量で除した値を空気過剰率といい、混合気中の空気の余剰度を表す指標である。実際に供給する空気量をL、理論上必要な最少空気量をL0とし、λ=L/L0と表すとき、このAが空気過剰率であり、実際の空燃比を理論空燃比で除した値にも等しい。λ=1の混合気が理論混合気であり、λ>1の混合気をリーン混合気、λ
鈴木慎一