《約10年間で8回も入院&手術》カルーセル麻紀が語る闘病と“わがまま”な生き方「がまんしてストレスをためるより、好きなことをやって生きた方がいい」
一度の手術で完治せず、その後、5回も手術
手術は、右腕の肘の付け根にカテーテルを挿入して行われた。局所麻酔のため意識はあったという。 「先生たちがね、“モニターを見て、見て”って何度も言うわけ。私は怖くて見たくなかったんだけどね。薄目をあけて恐る恐る見ると、血液が流れた瞬間がわかるの。それと同時に、私の体の中で血液がシャワーみたいに勢いよく流れていくのを体感したわよ。急に体中がポカポカしてきたのをよく覚えているわ」 退院後は血液をサラサラにするための抗血小板薬とコレステロール値を下げる薬をのみ始めた。これでよくなった…と思いきや翌年、今度は左足が痛くなり、右足と同様にカテーテル手術を受けることに。以降、左右の足で計6回のカテーテル手術を受けることになった。
原因はたばこだが、やめる気はなし
そして恐れていたことが起きた。それは、2020年4月のこと。いつものように就寝前のテキーラを飲もうとすると、口の端からこぼれてうまく飲めない。疲れているのかと思ったが、翌日、看護師をしている姪に電話をしたところ、今度は、「なんだか話し方が変よ。ろれつが回っていない!」と言われる。機転を利かせた姪が「脳梗塞だと思うから」とマネジャーに連絡してくれ、救急車が手配された。 「このときちょうど、ピザを注文していたのよね。救急車の中で、意識が朦朧としているのに、私ったらピザのことばかり話していたみたい(笑い)。 でも、このときばかりは、手術を延期してもらったときみたいに、ピザを待たなくて本当によかった。もう少し治療が遅れていたら、後遺症が出ていたかもしれないから」 脳梗塞は発症から4時間半以内に治療すれば、後遺症はほぼ残らないとされる。カルーセルの場合、発症から10時間以上が経過していたので、後遺症もなく回復したのは奇跡に近かった。しかしなぜ、これほど何度も血管が詰まるのか――。 「原因はわかっているの。たばこね。私、1日に2箱は吸うから。先生からせめて減らしましょうって言われているんだけど…でもね、好きなものをがまんしてストレスをためるより、好きなことをやって生きた方がいいって思っているの。50才までには死ぬだろうと思っていたのに、傘寿も過ぎたんだから、充分でしょ。 こうやって好き勝手わがままに生きて、言いたいことを言う私のことを嫌いと思う人もいるだろうけれど、そんなの関係ない。私は私! そんな私の人生が大好きなのよ」 何度大病になっても生還できるのは、奇跡ではない。カルーセルの生きざまが、そうさせているのかもしれない。 ◆タレント・カルーセル麻紀 かるーせる・まき/1942年北海道生まれ。19才のときに大阪のOSミュージックホールで舞台デビュー。以降、テレビや映画、舞台などで活躍。30才のとき、モロッコで性別適合手術を受ける。2004年に施行された性同一性障害者特例法で性別の変更が認められ、本名を「平原徹男」から「平原麻紀」と改名した。 取材・文/土田由佳 ※女性セブン2024年12月19日号