朝ドラの舞台にもなった「銀山温泉」ってどんなところ? 大正ロマンの残りが漂う温泉旅館の魅力とは
●大正ロマンの残り香漂う銀山温泉街
山形県尾花沢市の銀山温泉は1983年から1984年にかけて放送された朝の連続テレビ小説「おしん」の物語展開のスタートのロケ地として選ばれました。 【画像】銀山温泉ってどんなところ?写真で見る(14枚) おしんは世界60カ国以上で放送された人気ドラマであり、これにより銀山温泉は国際的に知られる人気温泉街の一つとなりました。 そんな銀山温泉ですがどのようなスポットなのでしょうか。
銀山温泉の名前は江戸時代初期に大銀山として栄えた「延沢銀山」の名称に由来しています。 1596年から1614年の間に温泉が発見され、1741年より温泉街として発展していきました。 1689年に延沢銀山で大崩落が起きて廃山になって以降、江戸時代後期から明治時代にかけて人口は少なくなり、世間とは離れた仙境で銀山温泉は湯宿を営みます。 しかし、大正2年の1993年に銀山川で大洪水が発生。その後は温泉の湧出量が少なく、川の水も侵入し温度も低かったため温泉利用者は伸びませんでした。 その後の昭和元年に高温多量の温泉が湧き出たことで銀山温泉は大きく発展していきます。 各旅館は大正ロマンを感じさせる洋風の3、4層木造構造に立て替えていき、戦後まで洋風化の波は続きました。 その後、洋風建築の流れが落ち着き、現在の大正浪漫の郷愁が残る銀山温泉街が完成しました。 そして、現在でもタイムスリップしたかのようなレトロな雰囲気は残っています。 ガス灯や、立ち並ぶ旅館の壁には「鏝絵」(こてえ)と呼ばれるカラフルな絵、アスファルトには雪の結晶を模したタイルが埋め込まれるなどが、大正時代の文化を感じさせてくれます。 また、銀山温泉には様々な旅館があります。どれも歴史があり、その雰囲気や日常を忘れさせてくれることから高い人気を得てきました。 なかでも、特に大正浪漫の面影を感じることができるのが「本館古勢起屋」です。
●ジャパンデコの「本館古勢起屋」
「本館古勢起屋」は1、2階は大正期、3階は昭和に建築されました。 1920年にフランスで誕生した華美な装飾を省いた商業デザインの先駆けともいえる様式である「アールデコ」は当時の日本に強い影響を与えました。 シンメトリーで端正なアールデコを和の感性で再構築した「ジャパンデコ」とも言える洋風の和館建築が盛んに作られ、本館古勢起屋もそのうちの一つです。