「60歳で仕事引退」の時代はどこへ…今の40~50代が抱える「早期退職」問題とは?
今までは「60歳での定年退職」が一般的でしたが、近年「早期退職」を勧める企業が増えています。実際に、株式会社東京商工リサーチの調査によると、2023年(1~5月)における「早期・希望退職者」を募集した上場企業は20社あるといいます(前年同期より1社増加)。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算 しかし「自分がいつ退職すればよいのか分からない」「退職したら収入が途絶えるのが心配」など、退職時期に関して悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。 そこで今回は、40代・50代の平均貯蓄額を見ながら、早期退職を決めるタイミングについて解説します。
40代・50代の平均貯蓄額
早期退職の時期を決めるうえで重要なのが、経済面での余裕があるかどうかです。退職後再び働くとしても、すぐに次の職場が見つかるかは分かりません。その後、働かないとしても、年金を受給できるのは原則65歳からです。それまでの間の生活費や、年金では足りない分の資金をためておく必要があります。 そこでまずは、40代と50代で平均貯蓄額にどれくらいの差があるのかを見てみましょう。 表1
※金融資産を保有していない世帯を含む ※金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(令和4年)[単身世帯調査][二人以上世帯調査]」を基に筆者作成 40代と50代で平均貯蓄額は、単身世帯で391万円、二人以上の世帯で428万円の差が見られます。これは平均値でしかありませんが、40代で早期退職する場合と、50代まで働いた場合とで、貯蓄額に大きな違いが出ることを考慮しましょう。
早期退職することでのメリット
早期退職すると、それ以降の収入が途絶えて、損をするとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。 しかし会社によっては「早期退職優遇制度」を実施しているところもあり、会社の都合で早期退職を宣告された場合は、自己都合で退職するよりも優遇措置を受けられるケースがあります。会社によって受けられる優遇措置は異なりますが、一般的には以下の通りです。 ●割り増し退職金 ●再就職支援制度 ●特別休暇制度 ●有給休暇の買い上げ 通常通りに定年退職を迎えるよりも、退職金が割り増しで支給されたり、再就職への支援を受けられたりするなどのメリットが期待できます。早期退職して退職金をもらったあとも、ほかの会社に再就職することは可能です。キャリアアップを目指すのであれば、40代や50代のうちに早期退職することで、次のキャリアへ踏み出しやすくなるでしょう。 ただし、自分で退職時期を決定して早期退職する場合は、自己都合退職扱いとなる可能性があります。自己都合による退職は、会社からの優遇措置を受けられなかったり、失業保険の手当をすぐに受給できなかったりすることもあるため、注意しましょう。