「1円スマホ」がついに“絶滅”確定!?…実は一般消費者にとっては「朗報」?12月27日からの「新たな値引き規制」の中身とは
11月22日、総務省は、情報通信行政・郵政行政審議会の答申において、携帯電話を販売する際の「値引き」について、新たな上限規制を12月27日から適用することを公表しました。これによって、いわゆる「1円スマホ」等のスマホ端末の極端な値引き販売が規制を受けることになります。現状のスマホの値引き販売で問題視されている点と、新たな規制の内容のポイントについて解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
「1円スマホ」が販売されているしくみ
街中や家電量販店、インターネット上で「1円スマホ」をよく見かけます。最新のiPhone等、10万円を超える高額な機種までも対象になっています。果たして、どのようなしくみになっているのでしょうか。 「1円スマホ」は、大手キャリアの販売代理店だからこそ実現可能なシステムです。スマホ端末と回線契約を「セット販売」して値引きすることによって実現します。 現在、この「セット販売」の値引きには後述するように規制が設けられています。しかし、「1円スマホ」はこの規制にもかかわらず、実現可能なシステムとなっています。どういうことなのか。以下、説明します。 ◆2019年以前は「セット販売」の値引きが無制限にできた 2019年9月以前、大手キャリアでは、高額な端末を「1円」等の廉価で販売する代わりに「2年間の契約継続」を条件に回線契約を結ぶということが行われていました。機種代金を1円にすることによるマイナスは、「2年契約縛り」で通信料金によって回収できるということだったのです。これは、スマホ端末と回線契約の両方を扱える大手キャリアならではの「特権」でした。 しかし、2019年10月に改正電気通信事業法が施行され、端末と回線契約とのセット販売の値引きが規制されるようになりました。「通信料金と端末代金の分離」といわれるものです。スマホ端末と回線契約のセット販売であまりに大幅な値引きを認めると、大手キャリアのみが不当に有利になってしまうため、セット販売の場合の値引きを「上限2万2,000円」とする規制が加えられたのです。 ◆規制後も販売代理店は「独自の値引き」で「1円スマホ」を実現 ところが、このルールには「抜け穴」がありました。「値引き上限2万2,000円」のルールはあくまでも、スマホ端末と回線契約の「セット販売」のみを規制するものです。販売代理店がスマホ端末について独自に行う割引は規制されていません。 そこで、販売代理店が予め独自にスマホ端末の価格を値引きしておいてから、回線契約とのセット販売の「2万2,000円の値引き」を行うという方法がとられるようになりました。現在の「1円スマホ」はこの方法によるものです。 もちろん、この方法だと販売代理店は「赤字」になります。しかし、契約件数を伸ばせばキャリアから「奨励金」等を受け取れるので、それで、赤字分をカバーしてきたという実態がありました。