「1円スマホ」がついに“絶滅”確定!?…実は一般消費者にとっては「朗報」?12月27日からの「新たな値引き規制」の中身とは
「1円スマホ」の何が問題か
このしくみがフェアかどうかはさておき、一般消費者の立場からは、一見、このしくみはメリットが大きいように感じられます。しかし、結局、そのツケは一般消費者に回されることになりかねません。 すなわち、公正取引委員会が2023年2月24日に公表した「携帯電話端末の廉価販売に関する緊急実態調査」の報告書においては、以下の問題点が指摘されていました。 ・SIMフリー端末等の販売事業者の競争力を奪う ・値引き分が通信料に転嫁される それぞれ、どういうことか説明します。 ◆問題点1|SIMフリー端末等の販売事業者の競争力を奪う 第一に、SIMフリー端末の販売事業者や、中古端末の販売事業者の競争力を奪ってしまうという問題が挙げられます。 SIMフリー端末・中古端末の販売事業者は、大手キャリアと異なり、回線契約とのセット販売による値引きをすることができません。したがって、大手キャリアないし販売代理店が「2万2,000円ルール」を潜脱して「1円スマホ」の販売を続ける限り、競争上不利な立場に置かれることになります。結果として、端末販売の市場が育たず事実上大手キャリアの「寡占」となり、一般消費者の利益が害されることになります。 ◆問題点2|値引き分が通信料に転嫁される 第二の問題は、値引き分が通信料に転嫁されるということです。前述のように、販売代理店は、「スマホ端末と回線契約のセット販売」の前にスマホ端末について独自の値引きを行うと、契約獲得件数が多くなるほど「赤字」になってしまいます。 そして、その分はキャリアからの「奨励金」等でカバーすることになります。そのお金の出所は、究極的には、キャリアが顧客から受け取る通信料収入です。値引き分が通信料に転嫁されることになるので、通信料は下がりにくくなります。それどころか、通信料が引き上げられる可能性すらあるということです。 このように、現在の「1円スマホ」のしくみは、巡り巡って、一般消費者の不利益につながる可能性があり、そのことを公正取引委員会・総務省は問題視しているということです。