『ブラックペアン』斬新すぎる一人二役!二宮和也「前作主人公」と「今作主人公」見事な演じ分けで極上の “引き” に
なんてコストパフォーマンスのいいアイデアなんだ! ここ最近の日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)を観ていると、そう唸らざるをえない。 シーズン1と同じく、嵐・二宮和也主演で、8月25日(日)に第7話まで放送されている本作。世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、第1話11.8%、第2話11.9%、第3話11.1%、第4話9.6%、第5話11.8%、第6話11.5%、第7話10.9%と高水準をキープし、ヒットしている。 ■主演俳優は続投なのに主人公変更という異例の設定 本作は2018年に日曜劇場で放送された『ブラックペアン』の続編で、人も金ももてあそび、「悪魔」と呼ばれているダークヒーロー的な天才外科医・天城雪彦を主人公とした物語。 特徴的なのは、主人公が前作から変更されている点だ。 世界観も舞台となる病院もシーズン1と同じで、竹内涼真、葵わかな、小泉孝太郎、趣里、内野聖陽といった主要キャストは前作と同じ役柄で再集結している。 しかし、少々ややこしいのだが、主演は前作も今作も二宮ながら、前作で二宮が演じたのは外科医・渡海征司郎で、今作で演じているのは、同じく外科医だが別人の天城雪彦なのである。 主演俳優は続投ながら、主人公が変わっているという異例の設定。 これは前作ファンにすれば新鮮味があるし、前作を未視聴でも今作から入りやすくなる一石二鳥を狙える巧みな戦略だと思っていたが、第6話以降、この “飛び道具” 的な設定の旨味がさらに際立っている。 ■今夜放送回で2024年現在の渡海が登場? 亡くなったキャラの俳優が、続編で別人としてキャスティングされるケースは目にしたことはあるが、死んだわけでもない主人公を演じていた役者が、別の人物を演じるなんてトリッキーすぎる。 そしてなんと、物語中盤から前作主人公・渡海が再登場しており、それがとびっきりの “引き” となっている。 第6話では7~8年前の回想シーンながら、渡海がたっぷり登場。シーズン1の前日譚で、趣里演じる看護師と師弟のような絆を深めていくエピソードが随所に挿入されたのだ。 しょせん過去のエピソードでしょ、と侮るなかれ。その第6話は前フリのようなもので、今夜放送の第8話では、渡海が2024年現在の本筋エピソードにも絡んでくるようなのである。 第8話の予告映像では、さっそうとオペ室に現れる渡海がはっきり映し出されている。それも実は過去のエピソードだったり夢オチだったりする可能性もゼロではないが、ここまでのストーリーの流れを考えると、本当に渡海が帰ってきた可能性が濃厚。 渡海が本格登場するとなれば、前作ファンは歓喜するだろうが、それ以上に期待が高まるのは、前作主人公・渡海と今作主人公・天城の対面シーン。新旧主人公が共闘すれば胸アツだし、対立していってもかなり盛り上がるだろう。 ■主演俳優が出るだけなのに極上の “引き” に このように、前作主人公の登場というイベントで視聴者をグイグイ引き込んでいるのだが、よくよく考えてみてほしい。 渡海を演じているのは、天城としてずっと出演し続けている二宮和也である。あえて水を差すような言い方をするが、第1話から出演している主演俳優が第8話にも出演するという、ごくごく当たり前のことなのだ。 にもかかわらず、二宮(=渡海)の登場予告で物語が俄然盛り上がってきているし、視聴者はグイグイ引き込まれている。 主演俳優が出演するだけで、こんなにも極上の “引き” が作れるとは……なんてコスパのいいアイデアなんだ。これはもう “発明” の域ではないか。 もちろん、それは二宮の類まれなる才能による演じ分けがあってこそだし、彼にかかる負担や労力は大きくなるかもしれないが、それでもコスパ抜群の最高の裏技であることは間違いない。 ――今夜放送の第8話で、本当に渡海が登場するのか? また、登場したとしてストーリーにどの程度絡んでくるのか? そして、天城との “共演” はあるのか? 興味は尽きない。 ●堺屋大地 恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中