「台湾の果物を世界に」 サニーヒルズ運営会社、新ブランドで海外展開拡大へ=創業者
(台北中央社)パイナップルケーキなどを販売する台湾発のスイーツブランド「サニーヒルズ」(微熱山丘)を運営する宝田(中部・南投県)の創業者、許銘仁氏と施宏漳執行長(CEO)は25日までに、中央社の単独インタビューに応じた。サニーヒルズとは別に、テイクアウトスイーツの新ブランド「Smille」を昨年立ち上げた同社。許氏は新ブランドを通じて海外展開を進める考えを示し、海外事業拡大を目指す理由について「台湾の果物を世界に届けたいからだ。これは最高の機会だ」と語った。 サニーヒルズは南投に2008年に誕生したブランド。2013年には東京・南青山に日本1号店をオープンさせた。現在は日本で常設店を3店舗運営する。サニーヒルズの商品が主に手土産として利用されているのとは一線を画し、新ブランドのSmilleでは日常生活での利用を想定した商品を展開。昨年11月に台北市の松山文創園区に旗艦店をオープンさせ、果物を使用したスティック型のパイ菓子を販売している。海外への出店はこれからだ。ブランド名の「Smille」は、英語の「スマイル」(笑顔)に、フランス語で「千」を表す「mille」をかけ合わせた。数多くの笑顔をもたらしたいとのメッセージを表現している。 ▽ 「Smille」で海外事業拡大へ 目指すは100店舗 許氏は「Smilleによって海外市場を開拓したい」と意気込む。許氏は、台湾では高品質な果物が多く生産されるものの、生産過剰になることも多いと話す。生鮮果物の輸出は容易ではないが、加工すれば輸出しやすくなる。そのため、同社がこれまでに培ってきた加工技術などを用いることで台湾の果物を世界に輸出すれば、「台湾の果物の生産・販売にとって大きな助力になる」と許氏。「もし(国内や海外に)100店舗を設けることができれば、台湾の果物への影響はとても大きなものになるのではないか」と語り、これは自身がずっと抱いてきた「夢」なのだと明かした。 Smilleでは単に台湾の果物だけを扱うわけではない。同社は世界各地の人と手を組んで現地の特色ある果物を利用したスイーツを生み出す「世界果実計画」を推進している。Smilleでは現地の果物をその地でそのまま加工して商品として提供することができるとし、「そうなれば互いにとってプラスになり、とても意味のあるものになる」と話した。 ▽ 東京に「Smille」海外1号店出店の可能性 日本進出は「特別」 海外の出店計画について施氏は、サニーヒルズがすでに出店している都市を初出店先として検討していると説明。日本への海外1号店出店の可能性については「おそらく選択肢には入る」とし、現在、包括的な運営チームがいるのはシンガポールと東京の2都市だけであることから「この2都市が優先的に(出店を)検討する都市になる」と述べた。海外出店は2年後を目標とし、将来的にはアジアの近隣都市だけでなく、欧米への展開も目指すとした。 同社は現在、日本とシンガポールにサニーヒルズの店舗を置く他、香港、米国、カナダ、ニュージーランド、ドイツにも販売チャンネルを設けている。施氏によれば、同社の売り上げのうち、海外は約3割、日本は全体の1割を占める。施氏は、同社にとって日本進出の意味は「特別」だと語る。日本のスイーツの美しさから学びを得て、パイナップルケーキの側面をより平坦に整えるなどの工夫を加えた。当初は「日本の消費者は甘いものを好む」との考えから、日本の店舗では日本の消費者向けに甘みが強いパイナップルを採用するなどの調整を加えた「日本版」を販売していたが、後の市場調査によって、日本の消費者が好むのは甘みが強いものではなく、台湾で売られているもののように、四季ごとに酸味や甘みが異なる味わいであることが分かり、2020年に日本版を廃止。現在は世界の全ての店舗で台湾と同じものが売られている。 半導体受託製造世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の熊本工場に関連し、日本の企業から最近、熊本への出店の誘いがあったと許氏は明かし、「もし問題がなければ試してみる」と前向きな姿勢を示した。また、もし熊本に新店舗をオープンさせるとすれば、Smilleをメインにする可能性もあるとした。 (名切千絵)